2008 Fiscal Year Annual Research Report
水の光分解反応を指向した新規可視光応答型光触媒の研究開発
Project/Area Number |
07J02395
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 和彦 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 光触媒 / 水分解 / 可視光 / 水素製造 / カーボン |
Research Abstract |
太陽エネルギーと粉末光触媒による水の分解反応は、クリーンな水素を製造するための究極の反応として注目されている。通常、水の分解反応に際しては、光触媒"本体"に気体生成活性サイトとして働く微量の金属成分を担持したものが用いられるが、光触媒"本体"の構成成分として金属種を全く含まない材料(例えば有機化合物)が水の分解反応に用いられた例はほとんど知られていない。本年度は、有機高分子であるカーボンナイトライト(C_3N_4)を光触媒"本体"として適用し、水の分解反応に対する光触媒活性を調べだ。尚、この研究はX.Wang博士、M.Antonietti教授(ドイツMax-Planck研究所)との共同研究である。 C_3N_4は、450nm付近に吸収端をもつ黄色の粉末である。この材料に水素生成の活性サイトとして働く白金ナノ粒子を担持すると、420nm以上の可視光照射下でメタノールなどの電子供与剤を含む水溶液から水素を生成する安定な光触媒として機能した。また、酸化ルテニウムのナノ粒子を酸素生成反応の活性サイトとして担持すると、電子受容剤として硝酸銀を含む水溶液から酸素を安定に生成できることがわかった。このように、有機化合物を不均一系の可視光応答型光触媒として水の分解反応系に適用し、その有用性をはじめて明らかとした。 また本年度は、T.E.Mallouk教授(米国ペンシルベニア州立大学)の研究室にて、水の可視光分解反応を指向した色素増感ハイブリッド型光触媒系の構築に取り組んだ。その結果、ニオブ酸ナノチューブを構成ブロックとして用いると、可視光照射により、ルテニウム錯体(増感色素)とエチレンジアミン四酢酸(電子供与試薬)を含む水溶液から水素生成が起こることを見出した。この系の性能は、従来の酸化チタンを用いた場合よりも10倍以上高く、簡便な実験操作で高い水素生成効率の達成が可能となった。
|
Research Products
(11 results)