2007 Fiscal Year Annual Research Report
惑星系形成理論における電磁流体力学的素過程の理論的研究
Project/Area Number |
07J02409
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武藤 恭之 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 惑星形成理論 / 原始惑星移動 / 磁気回転不安定性 |
Research Abstract |
本年度は、原始惑星移動に対する磁場の影響についての研究を行う予定であった。具体的には、磁場のかかった原始惑星系円盤における原始惑星と円盤ガスの重力的相互作用を線形解析によって調べ、さらに京都大学の町田正博氏と共同で、非線形段階まで取り入れた数値計算結果と比較し、線形解析の結果がどの程度正しいかを検証する計画であった。この計画はおおむね順調に遂行され、線形解析によって得られた、原始惑星にかかる重力トルクの解析的公式が数値計算の結果とよく一致することが示された。 本研究の意義及び重要性は以下の点にある。まず、原始惑星円盤において磁場の重要性が指摘されてきたにもかかわらず、磁場の効果を考慮した原始惑星移動の解析的計算は、現在までにほとんど行われていなかった。原始惑星系円盤の方位角方向の場合にはフランスの研究者C.Terquem氏の研究があり、磁場が原始惑星移働に対して大きな影響を与える可能性があることが指摘されていたが、トルクの物理的意味や、解析的公式などは導かれていなかった。本研究では、円盤に垂直方向の磁場がかかっている場合について調べた。これはC.Terquem氏の研究とは相補的な磁場の配置であり、原始惑星移動における磁場の影響の物理的理解をする上で重要である。さらに、本研究ではトルクの解析的公式を求めることに成功した。特に、単純なガス円盤の場合には存在しない、磁気流体に特有の波動の重要性を指摘し、通常のガス円盤における原始惑星移動と、磁場のかかった円盤における原始惑星移動では物理的に大きな違いがあることを示した。さらに、非常に強い磁場のかかった円盤においては惑星移動の速度が遅くなる可能性があることを指摘した。これは、今後の惑星形成のモデルに影響を与える可能性がある。本研究の結果をまとめた論文は雑誌『The Astrophysical Journal』に掲載
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Research Products
(12 results)