2009 Fiscal Year Annual Research Report
惑星系形成理論における電磁流体力学的素過程の理論的研究
Project/Area Number |
07J02409
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
武藤 恭之 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 惑星形成論 / 円盤・惑星相互作用 / 原始惑星移動 / 原始惑星系円盤 / 数値流体力学 |
Research Abstract |
今年度は、原始惑星系円盤と惑星の重力的相互作用に関する数値計算を中心に研究を行なった。特に、私が現在までに行なってきたような線型解析がどの程度まで適用可能であり、円盤・惑星相互作用の非線形性はどのような場合に重要になるのかといった点を明らかにすることを目的とした。 そのためにまず、境界条件の定式化およびコードへの実装を行なった。円盤・惑星相互作用の数値計算を行う際、惑星が円盤に立てた密度波をできるだけ正確に解き、かつ計算領域の境界で波の反射をできる限り抑えなければならない。そのために、流体力学の特性形式に着目したうえで惑星のたてる波の線形解に基づいた境界条件の定式化を行ない、数値計算コードに組み込んだ。この境界条件によって、境界での波の反射を抑えることに成功した。 この境界条件を実装したコードを用いて、低質量の惑星について円盤・惑星相互作用の非線形数値シミュレーションを行ない、その素過程を詳しく解析した。その結果、密度波が衝撃波となることによって散逸して円盤に渦度を生成し、その渦度が原因となって惑星の周囲にギャップが生成されることを示した。惑星が円盤にギャップを生成すると、惑星周囲の円盤ガスとの相互作用が弱くなるため、原始惑星移動の時間スケールなどに影響する可能性があり、惑星形成理論にも大きな影響がある可能性がある。この研究の結果は雑誌The Astrophysical Journalに投稿中である。 私は、このような理論的な研究を推し進める一方で、「原始星・原始惑星系円盤研究の現状と将来」と題する研究会を、京都大学GCOEおよび神戸大学・北海道大学GCOEの援助を受けて9月に主催した。本研究会では、電波・赤外線・X線の各波長での観測の専門家および理論の専門家を交え、活発な議論を行なうことができた。
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Research Products
(12 results)