2007 Fiscal Year Annual Research Report
MOSトランジスタのサブスレッショルド特性を利用したスマートセンサLSIの開拓
Project/Area Number |
07J02413
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
上野 憲一 Hokkaido University, 大学院・情報科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | CMOS / アナログ回路 / サブスレッショルド領域 / スマートセンサ / ユビキタス / 極低消費電力 / プロセスばらつき / MOSFETの温度特性 |
Research Abstract |
本年度は、「極めて微小な電力で動作するスマートセンサLSIの構成方法を確立すること」を目的に、大きく以下の研究課題に取り組んだ。 (1).センサアプリケーション・製造バラツキ補正回路の検討 MOSFETのサブスレッショルド領域が表す物理特性を利用した機能的なセンサアプリケーションの一例として、温度監視システムに適用可能な高精度温度センサ回路の検討を行った。MOSFETのサブスレッショルド領域動作(温度敏感性、極低消費電力動作)を利用することで、高精度であり極低消費電力である温度センサを提案した。 サブスレッショルド領域のもう一つの特徴として、そのデバイス特性から製造バラツキによる影響を受けやすくトランジスタ性能が悪化する。そこで、チップ内の製造バラツキに対して耐性のある回路アーキテクチャを提案し、回路シミュレーションにより製造バラツキに対する耐性動作の効果を確認した。この研究内容は国際会議で1件,国内学会1件で発表し、さらに現在、論文誌に投稿中である。 (2).参照電圧源の検討 MOSFETのサブスレッショルド領域特性は、温度に対して敏感に変化するため、その回路システムには、温度変化や電源電圧の変動に対しての影響が小さい参照電圧源が必要になる。また、回路をサブスレッショルド領域で動作させるためにも同様に必要である。通常の参照電圧源回路はバイポーラトランジスタと抵抗体を必要としチップ面積、消費電力ともに大きい。このため、現行の回路で使用されている抵抗体を用いずに、サブスレッショルド領域で動作するMOSFETのみで構成した参照電圧源回路を提案した。この回路は温度変化に対して一定の電圧を出力する回路アーキテクチャであり、回路全体の消費電力も既存の回路と比較して1/10〜1/100の消費電力である。またチップ内の製造プロセスバラツキをモニタリングできる機能も有していることから、様々なアナログ回路の製造バラツキをモニタリングすることができる。回路シミュレーション、及びチップ試作・測定により所望の動作を確認した。 この研究内容は、国内学会6件、国際会議1件、招待講演1件において発表を行っている。また、学術関係の賞を2件受賞し、特許も出願中である。さらに今年度、国際会議に投稿済みであり、学術論文誌に投稿予定である。
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