2009 Fiscal Year Annual Research Report
植物の成長制御に関わる生理活性物質の構造と機能解明
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07J02469
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山添 紗有美 Kyoto University, 物質ー細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞接着 / ヘパラン硫酸 / インテグリン / 細胞増殖 / RGDS / フィブロネクチン / 細胞外シグナル調節キナーゼ / 接着斑キナーゼ |
Research Abstract |
前年度までの研究にて、細胞接着促進化合物アドヘサミンの作用機構について調べ、その応用可能性について検討した。本年度はさらに、この化合物を利用して、人工フィブロネクチンの設計を試みた。アドヘサミンは細胞表面の糖鎖の一つであるヘパラン硫酸に結合して、細胞接着促進活性および細胞増殖促進活性を発現する。一方で、生体由来の細胞接着促進タンパク質、フィブロネクチンは細胞表面にある接着タンパク質であるインテグリンとヘパラン硫酸両方に結合して、細胞の接着および増殖を促進する。アドヘサミンにインテグリン結合モチーフを結合させれば、人工フィブロネクチン模倣体が作製できるはずである。幸いにもアルギニンーグリシンーアスパラギン酸ーセリン(RGDS)というテトラペプチドがフィブロネクチン内のインテグリン結合モチーフとして同定されている。そこで、もしアドヘサミンにこのテトラペプチドを結合させれば、細胞接着促進活性や細胞増殖促進活性の向上が期待される。予想された通り、合成した人工フィブロネクチンはオリジナルのアドヘサミンの100分の1の濃度で、アドヘサミンと同等の生物活性を発現することが分かった。さらにインテグリンおよびヘパラン硫酸に対する抗体を用いた実験から、この人工フィブロネクチンは天然のフィブロネクチン同様、インテグリンとヘパラン硫酸のクラスタリングを引き起こして、細胞外シグナル調節キナーゼや接着斑キナーゼのリン酸化といった下流シグナルの活性化を通じて、生物活性を発現していることが明らかになった。
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Research Products
(5 results)