2008 Fiscal Year Annual Research Report
植物の成長制御に関わる生理活性物質の構造と機能解明
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07J02469
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山添 紗有美 Kyoto University, 特質-細胞統合システム拠点, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 表現系スクリーニング / 細胞接着 / ゲリコサミノグリカン / ヘパリン / ヘパラン硫酸 / 天然物化学 / 4-MTBG / 全合成 |
Research Abstract |
前年度、化合物ライブラリーのスクリーニングから見出した細胞接着促進化合物アドヘサミンの活性発現機構および応用利用の可能性探索に関してさらに研究を進めた。 具体的にはヘパラン硫酸分解酵素にて細胞表面のヘパラン硫酸を選択的に除去することでアドヘサミンの細胞接着促進作用が阻害されることを示した。さらにヘパラン硫酸の欠損した変異細胞株を用いた実験も行い、アドヘサミンの細胞接着促進活性は細胞表面のヘパラン硫酸を介して誘導されることを示した。またアドヘサミンによって誘導される細胞接着が生理的なものか非生理的なものかを細胞骨格の形態や細胞骨格重合阻害剤等によって調べた。その結果、アドヘサミンはフィブロネクチンなどの細胞外マトリックス同様、細胞内のシグナル伝達系の活性化を伴う生理的な接着を誘導することが分かった。これは既存の合成試薬であるポリリジンが単に静電的相互作用でプレート表面への細胞接着を促すのとは対照的である。 一方、アドヘサミンの応用として細胞へのマイクロインジェクション用試薬としての利用価値を調べた。その結果、アドヘサミンを利用することで、既存の細胞培養用試薬では不可能であった浮遊細胞へのマイクロインジェクションが可能となることが分かった。 他方、植物の光屈性制御の候補物質とされる天然の生理活性物質、4-メチルチオー3-ブテニルグルコシノレート(4-MTBG)の合成研究も行い、本化合物の全合成にはじめて成功した。その結果、4-MTBGを化学的に標識するために必要となる誘導体のいくつかを合成することができた。
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Research Products
(3 results)