2008 Fiscal Year Annual Research Report
可逆なイミン結合形成反応に基づくインターロック化合物の構築とその動的構造制御
Project/Area Number |
07J02474
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
梅原 健志 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 国際研究者交流 / イギリス / ロタキサン / イミン結合 / 動的共有結合 / 分子シャトル |
Research Abstract |
昨年度は軸・環部がイミン結合により連結されたイミン架橋型ロタキサンの軸上にマクロサイクルと水素結合を形成するトリエチレングリコール(TEG)部位を導入した分子シャトルを構築した。その分子シャトルにおいてマクロサイクルはイミン結合形成時、軸分子中央に固定化されているが、酸性加水分解条件下にすることで加水分解が完全に進行し、マクロサイクルはTEG部位へと移動した。さらに、高温条件下へとすることでマクロサイクルはイミン結合ステーションへと完全に偏り、酸性加水分解条件下では温度変化だけでマクロサイクルの位置を完全に制御できることを明らかにした。 また、軸・環部をイミン結合により集合化させるロタキサン構築法は、イミン結合の動的共有結合性に基づく可逆性および効率的な集合特性、共有結合型テンプレートとしての安定性により様々な骨格に対し広い適応範囲を有すると予想される。一方、加水分解においては加水分解の運動性、すなわちエントロピー的要因がその平衡に寄与すると予想される。そこで本年度はどのような構造的要因がスレッディング効率、加水分解効率に影響を与えるかを調査する事を目的とし、軸分子上における2つのホルミル基の距離や環のサイズ、軸・環部の柔軟性が異なる誘導体を合成し、それらを用いたスレッディング特性、加水分解特性の調査を行った。 すでに合成されているヒドリンダセン型軸分子に加えてシクロヘキサン型、ヘキサヒドロピレン型軸分子を新たに合成し、マクロサイクルはヘキサジイン型、ヘキサメチレン型に加えて、メタキシリレン型、アニシル修飾型、フェニルエチキサン修飾型の3種のマクロサイクルを合成し、それらを用いて調査を行ったところ、スレッディング段階においては軸および環の剛直性が重要な要因であること、およびマクロサイクルのアニリン部の置換基効果もスレッディング効率に影響しうることが示唆された。また、加水分解段階においては環の柔軟性が必要であることも分かった。加えて、軸分子の分子サイズを大きくすることでイミン体における立体障害が増加し、加水分解平衡状態における[2]ロタキサンの組成比が大きくなることが明らかにされた。
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Research Products
(2 results)