2007 Fiscal Year Annual Research Report
ゼータ関数のq類似およびそれを基点とした特殊関数のq類似の研究
Project/Area Number |
07J02485
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山崎 義徳 Kyushu University, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ゼータ関数 / q類似 / 多重L値 / ラプラシアンの行列式 |
Research Abstract |
1、ゼータ関数のq類似の研究 Kaneko-Kurokawa-Wakayamaによって導入されたqフルビッツゼータ関数(sとtの複素二変数関数)の変形で、すべてのsとtに対してその古典極限が元のゼータ関数に一致するものを構成した。すなわちそれは、全平面で有効なqフルビッツゼータ関数の1パラメータ族を与えており、実際そのような例として知られているUeno-Nishizawa、Tsumura、Kawagoe-Wakayama-Yamasakiによって研究されたq類似たちは、それぞれその特殊化として得られる。さらに、上記の例を含む特別な場合については、その解析的性質(極やそこでの留数および特殊値)を研究した。 2、対称関数を用いた多重L値の研究 Arakawa-Kanekoによって導入された多重ディリクレL値のインデックスおよび指標が全て等しい場合の評価式を、対称関数を用いて二通りに導いた。それらはそれぞれ分割にわたる和、多項係数と1の冪根を用いた多重和で表される。この手法は非正の整数点での特殊値を計算する場合にも有効である。また、同様の議論により、非可換調和振動子のスペクトルゼータ関数の特殊値を記述する数列(の極限)をリーマンゼータ値で表す公式を得た。それに付随して、二重L値に対するオイラーの関係式の類似を導いた(琉球大学・木本一史氏との共同研究)。 3、ラプラシアンの行列式とそれに付随するゼータ関数の研究 Milnorによる多重ガンマ関数の研究の類似として、ラプラシアンの"深さrの行列式"(スペクトルゼータ関数の1-rでの微分を用いて定義)を導入し、コンパクトリーマン面および高次元球面の場合にそれぞれ明示的表示を得た。それらはバーンズの多重ガンマ関数および、前者の場合は加えてミルナー・セルバーグゼータ関数と呼ぶべき新しい関数(セルバーグゼータ関数のある一般化)を用いて記述され、r=1の場合にそれぞれVoros、Kumagaiの結果を含む(東京工業大学・黒川信重氏、九州大学・若山正人氏との共同研究)。
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