2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02491
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
遠藤 容子 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 肝癌 / 遺伝子変異 / C型肝炎ウイルス / NF-κB / 慢性肝炎 |
Research Abstract |
申請者は、肝発癌過程における遺伝子変異生成の分子機構を明らかにする目的で、遺伝子の編集酵素であるActivation-induced cytidine deaminase(AID)に着目した。AIDはB細胞において免疫グロブリンの体細胞突然変異に必須のDNA/RNA編集酵素であるが、生理的条件下ではその発現は活性化B細胞においてのみ限局している。しかし、AIDを全身に発現するトランスジェニックマウスで肝癌が発生したことから、肝細胞において発現誘導され、体細胞遺伝子に変異を導入することにより、肝発癌に関与している可能性についての検討を進めた。まず、申請者らはヒト臨床検体を用いて、AIDは正常肝組織ではほとんど発現していないにも関わらず、肝癌症例の癌部・非癌部組織において、過剰に発現していることを明らかにした(論文2 Int J cancer 2007)。また、培養細胞を用いた検討により、この肝炎、肝硬変組織におけるAIDの発現上昇の機序として、炎症性サイトカインであるTNF-αにより肝細胞中にAIDが発現誘導されていることを明らかとし、転写因子NF-κB依存性であることを報告した(論文1 Oncogene 2007)。また、ヒト肝癌においては高率にC型肝炎ウイルス(HCV)感染を伴っていることに着目し検討した結果、ヒト肝細胞においてはHCV感染によりAIDが発現誘導されること、HCVによるAIDの発現はウイルスタンパクであるCoreタンパクによりNF-κB存性であることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)