2009 Fiscal Year Annual Research Report
アルギン酸リアーゼの原子レベルでの構造・機能相関解析
Project/Area Number |
07J02497
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小倉 康平 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルギン酸 / 多糖リアーゼ / X線結晶構造解析 / 作用様式 / 触媒反応機構 |
Research Abstract |
アルギン酸リアーゼは、酸性多糖アルギン酸におけるグリコシド結合をβ脱離反応により切断する。本研究は、アルギン酸リアーゼの構造・機能相関を解明することを目的としている。本年度は、一次構造上多糖リアーゼファミリー(PL-)7に属する酵素A1-II'におけるクレフト内各アミノ酸残基の役割およびPL-14酵素vAL-1(S)の作用様式を解析した。(1)PL-7アルギン酸リアーゼA1-II':部位特異的変異体R146AとY284Fの立体構造をX線結晶構造解析により分解能1.0Åで決定した。R146Aの結晶構造では、クレフトを覆うループL1の揺らぎ構造が消失していた。ループL1の開閉は酵素反応に必須であり、Arg146は周辺の残基および水分子との相互作用を介して、ループL1の動的構造を制御することが示唆された。Y284Fは、大幅な活性の減少を示すが、クレフト内残基の温度因子および水素結合様式に影響を及ぼさなかった。このことから、Tyr284は、酵素と糖との相互作用にのみ関わることが明らかになった。(2)PL-14アルギン酸リアーゼvAL-1(S):vAL-1(S)は、pH7ではアルギン酸から二糖~四糖のオリゴ糖を遊離したが、pH10ではアルギン酸二糖を優先的に遊離した。したがって、本酵素がpH依存的な作用様式を示すことが明らかになった(pH7,エンド型;pH10,エキソ型)。本酵素とグルクロン酸との複合体の結晶構造において、グルクロン酸はpH7ではクレフトの外側(ストランドA6-A7周辺)、pH10ではクレフトの内側(A4-A6)に結合していた。このことから、本酵素は糖との結合様式をpH依存的に変化させることで、固有の作用様式を発現させることが明らかになった。
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Research Products
(2 results)