2007 Fiscal Year Annual Research Report
アルギン酸リアーゼの原子レベルでの構造・機能相関解析
Project/Area Number |
07J02497
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小倉 康平 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルギン酸 / 多糖リアーゼ / X線結晶構造解析 / 中性子線結晶構造解析 / 基質認識機構 / 触媒反応機構 |
Research Abstract |
アルギン酸はグルロン酸(G)とマンヌロン酸(M)から構成されるヘテロ多糖であり、そのグリコシド結合はアルギン酸リアーゼによる脱離反応で切断される。本研究は、多糖リアーゼファミリー5と7に属するアルギン酸リアーゼ(Sphingomonas sp.A1由来A1-IIIとA1-II')に焦点を当て、超高分解能X線・中性子線結晶構造解析及び酵素科学的解析により、該酵素の基質認識及び触媒反応機構を原子レベルで解明することを目的とする。本年度は、A1-II'と糖との複合体の結晶構造解析を進め、基質認識と触媒反応に関わる構造要因を明らかにする研究を計画した。A1-II'変異体(Y284F)と3糖GGG或いは3糖MMGとの複合体の結晶構造をそれぞれ分解能1.65Åと1.55Åで決定した。GGG或いはMMGは、A1-II'クレフト内の還元末端側サブサイト+1、+2、+3に結合していた。G或いはMのカルボキシル基は、サブサイト+1ではArg146とGln189に、サブサイト+2ではThr139とAsn141により厳密に認識される。一方、水酸基はGとMとの間で異なるアミノ酸残基と相互作用する。従って、ポリG及びポリM領域の両方に作用するA1-II'の基質認識には、GとMとの結合を許容するA1-II'特有のクレフト内構造が寄与していることを明らかにした。A1-II'変異体(H191N/Y284F)と4糖GGMGとの複合体の結晶構造を分解能1.80Åで決定し、酵素の触媒反応機構を解析した。このモデルから、以下の反応機構を提唱した。Gln、His、Tyrが触媒残基としてそれぞれカルボキシル基の安定化、C5プロトンの引き抜き、及びO4へのプロトン付加を行う。今後、この触媒反応機構を原子レベルで検証するために、超高分解能結晶構造解析を行う予定である。
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