2008 Fiscal Year Annual Research Report
アルギン酸リアーゼの原子レベルでの構造・機能相関解析
Project/Area Number |
07J02497
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小倉 康平 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | アルギン酸 / 多糖リアーゼ / X線結晶構造解析 / 中性子線結晶構造解析 / 触媒反応機構 |
Research Abstract |
アルギン酸リアーゼは、酸性多糖アルギン酸におけるグリコシド結合をβ脱離反応により切断する。本研究は、超高分解能でのX線・中性子線結晶構造解析によりアルギン酸リアーゼの触媒反応機構を明らかにすることを目的としている。本年度は、一次構造上多糖リアーゼファミリー(PL-)7に属する酵素Al-II'及びPL-14酵素vAL-1(S)のX線結晶構造を解析した。(1)PL-7アルギン酸リアーゼAl-II':発現系及び結晶化条件を再構築し、超高分解能0.8ÅのAl-II'リガンド非結合(アポ型)結晶構造を決定した。構造モデルにおいて、活性中心周辺に水素のomit mapを確認し、触媒反応におけるプロトンの動態を考察した。また、反応産物(アルギン酸3糖)との複合体結晶構造(分解能1.2Å)では、アポ型で見られたdisorder領域が消失し、PL-7保存残基Arg146とTyr284とのスタッキング相互作用が形成される。このことから、Al-II'クレフト構成残基は、糖との結合によりリジッドな構造に変化し、触媒反応を開始することが明らかになった。(2)PL-14アルギン酸リアーゼvAL-1(S):vAL-1(S)の発現系及び結晶化条件を構築した。セレノメチオニン誘導体結晶を用いた単波長異常分散法により位相を決定し、vAL-1(S)の立体構造を決定した。β-jelly roll構造を基本骨格とするvAL-1(S)において、クレフト内PL-14保存残基Lys92、Arg116、Tyr128、Tyr130が活性中心を構成すると考えられるが、これらの残基は他ファミリーに属するアルギン酸リアーゼと異なる配置を示す。このことから、PL-14アルギン酸リアーゼは、新規の活性中心構造を有することが示唆された。
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Research Products
(3 results)