2008 Fiscal Year Annual Research Report
Necl-5による増殖因子受容体とインテグリンの相互作用の制御機構
Project/Area Number |
07J02510
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
天野 恭志 Osaka University, 生命機能研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | Necl-5 / 増殖因子受容体 / インテグリン / 血管新生 / 細胞運動 / 細胞増殖 / アポトーシス / タンパク質間相互作用 |
Research Abstract |
Necl-5は免疫グロブリン様の分子で、ポリオウィルス受容体として知られている。私どもは、これまでにNIH3T3細胞において血小板由来増殖因子(PDGF)受容体やインテグリンαvβ3と物理的、機能的に相互作用し、細胞の運動や増殖及び運動先導端の形成を促進していることを明らかにしている。しかし、生体内におけるNecl-5の機能についてはほとんど明らかではなかった。私は、血管新生におけるNecl-5の機能を解析した。まず、Necl-5がマウス下肢における血管内皮において高発現している一方で、Necl-5欠損マウスにおける血管は見かけ上正常であったため、マウスの大腿動脈を結紮し、レーザー血流計を用いて下肢における血管新生能及び血流量を経時的に測定した。その結果、Necl-5欠損マウスの血流量の回復は野生型と比較して悪く、新たに形成された毛細血管数は減少しなかった。in vivoの結果と同様に、Necl-5はヒト毛細血管内皮細胞やヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)において高発現していた。そこでsiRNAを用いてNecl-5を特異的にノックダウンし、HUVECにおける機能解析を行った。Necl-5をノックダウンしたところ、さまざまな細胞外マトリックスに対する接着能は阻害されなかったが、血管内皮由来増殖因子(VEGF)によって誘導される管腔形成及び細胞の運動や増殖は阻害され、アポトーシスが促進された。また、Necl-5はPDGF受容体と類似した構造を持つVEGF受容体とインテグリンαvβ3の相互作用やその下流の生存シグナル伝達経路が制御することを明らかにした。このようにNecl-5はVEGF受容体とインテグリンαvβ3の相互作用を制御することで、血管内皮細胞における血管新生機構や細胞の生存シグナル伝達を促進することを明らかにした。
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