2008 Fiscal Year Annual Research Report
複数の核遺伝子マーカーにもとづく汎熱帯海流散布植物の種分化過程の解明
Project/Area Number |
07J02524
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
高山 浩司 Chiba University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 系統地理 / 種子散布 / 汎熱帯海流散布植物 |
Research Abstract |
研究目的と方法:汎熱帯海流散布植物オオハマボウと近縁4種を対象に、複数の核遺伝子マーカーにもとづく系統関係と全球的な遺伝的構造を解析することにより、広域分布種を母種とした種分化過程の解明を行うことを目的としている。 研究成果: 1.野外調査:メキシコ、フィジー、中国で汎熱帯海流散布植物の遺伝子解析用試料を採集した。 2.核遺伝子マーカーのスクリーニング:既存の論文を参考にプライマーを作成し、15遺伝子座(Aat,Cam,CelA,Chi,Chs,G3pdh,Tpi,Pi,Pgi,Wrky11,Wrky12,Wrky13,Wrky14,Rpb2,Prk)のスクリーニングをおこなった。PiとPgiを除く13の遺伝子座でDNAフラグメントの増幅を確認することができた。さらに、Aat,Chs,G3pdh、CelAの4つの遺伝子座において種間での高い相同性と遺伝的多型が見られることが明らかとなった。得られた配列をもとに、上記の4つの遺伝子座について500塩基対程度のPCR産物が得られるようなプライマーを再設計した。 3.CelA遺伝子の解析:上記の4つの遺伝子座のうち、PCR増幅効率や多型性を考慮したときに、解析が最も容易であると考えられたCelA(cellulose synthase genes)相同遺伝子について、オオハマボウと近縁4種の各3個体ずつの塩基配列の決定をおこなった。塩基配列の決定には、PCR-ダイレクトシーケンス法とクローニング法および、SSCP法を用いた。解析の結果、種間でのハプロタイプの共有は見られず、種特異的なマーカーとしても有用であると考えられた。ハプロタイプの系統関係を調べるために、ネットワーク図を構築したところ、オオハマボウのハプロタイプが内部(interior)に、近縁4種のハプロタイプが末端(tip)あるいは末端近くに位置することが明らかとなった。今後、外群を含めた多検体の解析が必要ではあるが、CelA相同遺伝子座のジェネアロジーは、オオハマボウを母種として複数の種が分化してきたというこれまでの仮説と矛盾しない結果を得ることができた。
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