2008 Fiscal Year Annual Research Report
超分子ナノマシン細菌べん毛モーターを再構成して機能を探る
Project/Area Number |
07J02549
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
檜作 洋平 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 大腸菌 / べん毛モーター / Pリング / 固定子複合体 / ジスルフィド架橋 / ペプチドグリカン / キメラタンパク質 / 外膜リポタンパク質 |
Research Abstract |
細菌のべん毛モーターは運動器官としては生物最小の転モーターである。本研究の目的はべん毛基部体構成因子であるPリングと固定子タンパク質MotBを架橋させることで固定子を回転子とともに単離し、完全な状態のべん毛モーターを単離・再構成することである。昨年度の研究によってPリングを構成するFlgIとMotB間のジスルフィド架橋をタンパク質レベルで確認するところまで達成した。本年度の研究では、さらに架橋方法の探索を推し進め、菌の運動能を損なうことなくFlgIとMotBを架橋する方法を見出した。また、検出された架橋の一部はべん毛に組み込まれたPリングと固定子の間での架橋を反映していることを示唆する結果を得た。これらの結果は、本研究の目的である固定子付きのべん毛モーターの単離に大きく近づくものであり、さらに今まで推測の域を出なかったPリングと固定子の間の相互作用の存在を示唆する初めてのデータである。これと並行して、FlgIとの架橋が確認されたMotB C末端領域のPGBドメインの機能・構造解析を行った。MotBのC末端PGB領域を他の3種のPGBタンパク質のPGB領域と切り換えたキメラMotBを作製し、MotBとしての機能を調べた。作製したキメラMotBは機能しなかったが、キメラ発現株から運動能復帰変異体の取得を試みたところ、外膜リポタンパク質Palとのキメラから、P159L、F172Vという2種の運動能復帰変異体を取得した。F172V変異はPGとの結合能には変化を与えなかったことから、MotBとPalのPGB領域はPG結合能という点で機能的に互換性があることが示された。さらにMotB変異体とPalの立体構造との比較から、MotBとPalのPGB領域の構造的な類似性も示唆された。
|
Research Products
(7 results)