2008 Fiscal Year Annual Research Report
構造解析による腸炎ビブリオ菌の二種類のIII型分泌機構の比較
Project/Area Number |
07J02554
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷ヶ崎 仁 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 病原性 / ビブリオ菌 / 3型分泌装置 / バクテリア / ニードル構造 / 電子顕微鏡 |
Research Abstract |
腸炎ビブリオは、遺伝学的な解析から2種類の三型分泌機構を持つと推測される。本研究では、それぞれの三型分泌機構の輸送構造体を単離・精製し、構造解析することを最終的な目的としている。昨年は各システムからの輸送発現の条件検討を行い、他菌種の相同な分泌装置の単離法を流用することで、分泌装置を含むと考えられる画分を得ることができるようになった。しかし、得られたサンプルには夾雑物も多く、電子顕微鏡観察による構造体の確認はできなかった。水溶液中ではとても安定性が低いとされている輸送構造体が、ここまで用いられた単離法により分解されているのかどうかを判別することもできていない。 これまで三型分泌機構の発現確認には、膜輸送の量と分泌構造体の外膜ジング部タンパク質の量をプローブとして用いてきたが、完成した構造体の単離を目的とする本研究では妥当ではないと考えられる。そのため、構造体の内膜位置や細胞質側のCリングに含まれると予想されるタンパク質にGFPを結合させたタンパク質を発現させる系を作成した。それぞれを野生型およびVscV1(輸送能)欠失株で発現させたところ、VscQ1-GFPが野生型でのみ細胞膜近傍に複数の蛍光ドットを形成した。これにより、VscQ1-GFPが分泌構造体のCリングへ組み込まれたことがわかり、また一菌体における大体の構造体の数も数個であると判明した。よって、効率的に同菌で構造体を単離するには、構造体数を増加させる何らかの変異体を見つけることが必要であると考えた。本研究室では以前、海洋性ビブリオの単極べん毛の数を制御する一因子を決定しており、その欠失により多極べん毛菌を作成することに成功している。現在私は、三型分泌装置の構築ステップや構造体数の制御メカニズムを知るため、上述の因子とFlhA(VscVの相同タンパク質)の相互作用の解析に取り組んでいる。
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