2007 Fiscal Year Annual Research Report
哺乳類卵の減数分裂過程におけるヒストンアセチル化制御機構の解析
Project/Area Number |
07J02573
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
遠藤 墾 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 哺乳類卵 / 減数分裂 / ヒストン修飾 / ヒストン脱アセチル化酵素(HDACs) / 核移植 |
Research Abstract |
研究の具体的内容 減数分裂特異的な脱アセチル化(global histone deacetylation)に必要な、卵特異的因子およびヒストン脱アセチル化酵素(HDACs)の特定を19年度の目的とした。 HDACsには10種類以上のアイソフォームが存在しているが、アミノ酸配列の相同性から、クラスI〜IIIのファミリーに分類される。まず、global histonedeacetylationとクラスI HDACsとの関連性を調べるため、クラスI HDACsの特異的阻害剤を用いて実験を行った。 その結果、global histone deacetylationが起こる前の時期から、活性をもった多量のクラスI HDACsが卵の核内に存在していることが明らかになった。また、卵の核外にはクラスII〜IIIのHDACsが主に存在し、クラスI HDACsはほとんど存在しないことが示唆された。興味深いことに、核内に多量に存在するクラスI HDACs活性を阻害してもglobal histonedeacetylationが起こることが示された。 そこで次に体細胞核を除核卵に移植したところ、卵核内の因子がなくとも、体細胞核にglobal histone deacetylationが誘起されることが明らかになった。これよりGlobal histone deacetylationにクラスI HDACsを含めた卵核内の因子は必要なく、脱アセチル化を引き起こす因子はすべて卵の核外に備わっていることが示唆された。 意義と重要性 哺乳類の生殖細胞では、遺伝子発現を制御する(ヒストン修飾を含めた)エピジェネティクス修飾の変化と、それに伴う全能性の再獲得(reprogramming)が起こるが、詳細な制御機構はわかっていない。本研究の成果は、減数分裂期のクロマチン制御や全能性の再獲得と、ヒストンアセチル化修飾の関連性を明らかする上で重要な知見となる。
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Research Products
(3 results)