2008 Fiscal Year Annual Research Report
心的辞書構造に基づく英語語彙学習プロセスのモデル化
Project/Area Number |
07J02631
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中川 知佳子 University of Tsukuba, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 英語教育 / 語彙習得 / メンタルレキシコン / 改定階層モデル / 符号化特殊性原理 |
Research Abstract |
平成20年度には、平成19年度に検証した心的辞書内の英語語彙ネットワーク強度と、ネットワークの構築段階についての結果を発展させ、「英語語彙学習時(符号化時)」と、学習された語彙の「想起時(再生時)」におけるネットワーク強度の影響を検証した。 特に、意味情報の符号化がどのような単語ペアを提示したときに必要となるかを、パラディグマティック関連語・シンタグマティック関連語・音韻関連語の3種類の学習条件における、手がかり再生課題の結果から検証・考察している。また、学習時に母語である日本語を提示する条件と提示しない条件を比較し、どのような条件において意味情報の活性化が必要となるのかについて追従研究を行った。その結果、音韻関連語をペアとして提示された場合には意味に関する情報の活性化値が低く、再生時に再生目標語と意味的な関連を持つ手がかりが機能しにくいことが明らかとなった(掲載論文:Effects of encoding processes on L2 lexical network activation)。 また、どのような英語語彙を処理する際に母語の影響が強く現れるかを検証するため、改定階層モデル(revised hierarchical model)を基に、語彙の表す概念表象の具体性と、学習者の持つ単語知識の深さを要因として発達仮説の検証をおこなった。その結果、具体語は知識が深まるにつれL2語彙表象から概念への直接的なリンクが形成されるのに対し、抽象語は語彙知識の深さにかかわらず概念へのアクセスに母語を経由することが示された(掲載論文:Examination of the developmental hypothesis on the revised hierarchical model)。
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Research Products
(7 results)