2008 Fiscal Year Annual Research Report
触媒的脱水環化反応によるオキサゾリン類、チアゾリン類の効率的合成法の開発
Project/Area Number |
07J02660
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 玲 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 酸化モリブデン / 触媒 / オキサゾリン / チアゾリン / ヘテロ環 / 生物活性物質 / ビス(オキサゾリン) / 不斉Diels-Alder反応 |
Research Abstract |
酸化モリブデン(VI)触媒を用いてオキサゾリンやチアゾリンなどヘテロ環を含む生物活性物質を合成し、論文にまとめ発表した。また、新たなキラルビス(オキサゾリン)配位子を合成し、銅(II)との錯体を触媒に用いる不斉Diels-Alder反応を開発した。 1.ヘテロ環を含む生物活性物質の合成 オキサゾリンは酸素原子と窒素原子を、チアゾリンは硫黄原子と窒素原子を含む5員環化合物である。オキサゾリンやチアゾリン、それらが酸化されたオキサゾールやチアゾールは多くの天然有機化合物に含まれる重要なヘテロ環構造である。これらは抗腫瘍活性や抗ウイルス活性などの生物活性を示すことが知られている。著者は、酸化モリブデン(VI)触媒を用いて、アミノ酸誘導体からオキサゾリン、チアゾリンを合成する効率的方法を既に開発している。触媒量で反応が進行し、副生成物が水のみであるという点で、多量の副生成物が生じる従来の脱水縮合剤を用いる方法に比べ、環境低負荷型の優れた反応である。今年度、本合成法を様々な生物活性物質の合成へ応用し、複雑な化合物にも対応しうることを証明することができた。 2.銅(II)・キラルビス(オキサゾリン)錯体を用いる触媒的不斉Diels-Alder反応の開発 2つのオキサゾリン構造を持つビス(オキサゾリン)は不斉配位子として有用である。著者は開発した酸化モリブデン触媒を用いて新たなビス(オキサゾリン)配位子を合成し、銅(II)との錯体触媒による不斉Diels-Alder反応を開発した。スルホンアミド基をもつビス(オキサゾリン)配位子を用いた場合、様々な基質においてよい収率、高いエナンチオ選択性で目的の化合物が得られた。理論計算により、スルホニル酸素と銅カチオンとの相互作用(カチオン-n相互作用)が示唆されている。このような相互作用を鍵とする触媒の報告例はなく、興味深い結果である。現在、この成果に関しての論文を投稿準備中である。
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Research Products
(4 results)