2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02672
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
長尾 健太郎 Kyoto University, 数理解析研究所, 特別研究員(PD)
|
Keywords | Donaldson-Thomas理論 / 壁越え公式 / Calabi-Yau圏 / 位相的頂点 / 頂点作用素 / 団代数 |
Research Abstract |
2009年度は前年度に引き続き3次元Calabi-Yau圏の対象の数え上げ不変量とその壁越えについて研究を行った.主たる成果は(1)開いた弦の理論に対応する不変量の導入(2)頂点作用素を用いた不変量の計算法の発見(3)団代数の理論への応用,の3点である.(1)弦理論には閉じた弦の理論と開いた弦の理論があり,互いに密接に関係しているが,前者に比べて後者は数学的定式化が難しい.従来の数え上げ不変量は閉じた弦の理論に対応するものであるが,研究代表者はある種のトーリックCalabi-Yau多様体について開いた弦の理論に対応する数え上げ不変量を定式化し,その壁越え公式を導いた.(2)近年壁越え公式自体の定式化は急速に進展したが,壁越え公式を用いて生成関数の性質を調べる研究は未発展である.研究代表者はある種のトーリックCalabi-Yau多様体について,頂点作用素を用いて数え上げ不変量を計算できることを発見した.特に,壁越え公式は頂点作用素の交換関係式に他ならないことを示した.(3)団代数は量子群の半標準基底の研究において導入され,その後様々な分野に現れることが発見されてきた.研究代表者は,ポテンシャル付き箙から定まる3次元Calabi-Yau圏の対象の数え上げ不変量の壁越えを考察することによって,団代数の基本的性質が理解できることを示した.
|
Research Products
(6 results)