2008 Fiscal Year Annual Research Report
脊髄小脳変性症モデルマウスの作製と発症メカニズムの分子生物学的・病理学的解析
Project/Area Number |
07J02677
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
足立 直子 Kobe University, 医学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | SCA14 / 脊髄小脳変性症 / カルシウム / TRPC3 |
Research Abstract |
SCA14変異型PKCγ発現細胞においてPKCγの機能不全により受容体刺激後のカルシウムの流入量が増大し、細胞内のカルシウムホメオスタシスを変化させていることが判明した。このカルシウムの流入にはTRPC3チャネルの関与が強く示唆された。野生型PKCγはTRPC3チャネルをリン酸化することによりTRPC3チャネルを介したカルシウムの流入阻害するのに対して、変異型PKCγではTRPC3チャネルをリン酸化することが出来なくなってしいた。これは、SCA14の変異によりPKCγのC1ドメインと細胞膜脂質ジアシルグリセロールとの結合能が低下し、細胞質膜上に安定的に滞在出来ず、変異型PKCγが細胞質膜上のTRPC3チャネルと相互作用出来なくなったためだと考えられた。 一方で、我々はSCA14変異体のうち、G128DとG360SについてCre/LoxPシステムを用いて、部位特異的に変異タンパク質の発現を調節できる病態モデルマウスを作製している。既に、小脳プルキンエ細胞での変異タンパク質の発現は確認しており、これらのマウスにおいて小脳脊髄変性症様の病態の有無を観察中である。これまでのところ、変異タンパク質の発現量が内在性のPKCγと比較して少ないこともあり、顕著な歩行障害等は観察されていない。しかしながら、脊髄小脳変性症はヒトにおいては長期的に進行し、発症年齢にも開きがあるため、これらのマウスにおいて長期的な経過観察が必要であると考えている。
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Research Products
(4 results)