2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02691
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
田端 誠 千葉大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | エアロゲル / 宇宙塵 |
Research Abstract |
宇宙塵捕集実験用の低密度シリカエアロゲルの生産性向上のため、成型法として従来のガラス製鋳型を廃し、プラスチック製鋳型を導入した。同時に約一ヶ月を要する全工程を見直し、品質の安定したエアロゲルの効率的な製作を可能とした。プラスチック鋳型は市販品を利用することにより、初期費用の大幅な削減と、様々なエアロゲル形状の要求への柔軟な対応を可能とした上、形状の整ったタイル状エアロゲルは宇宙機搭載の際に特別な加工が不要である。少人数による簡便な製作手順が確立された結果、歩留まりも改善されて生産能率はおよそ2倍となり、宇宙機搭載に向けて捕集材エアロゲルの大量生産体制が整った。さらに、プラスチック鋳型を用いて調薬・成型過程を改善し、従来不可能とされてきた0.03g/cm^3を下回る密度である0.01-0.03g/cm^3の単一層エアロゲルの開発に初めて成功した。これまで、ガラス鋳型を用いたり、異なる密度のエアロゲルを層状に形成したりすることが低密度化に有効と思われ一定の効果はあったものの、それらの方法はエアロゲルの形状・品質を悪化させる効果もあることを明らかにした。新規開発したエアロゲルに対しては、宇宙航空研究開発機構・宇宙科学研究本部の二段式軽ガス銃により、φ50-100μmの宇宙塵模擬微粒子を2-4km/secで衝突させる実験を実施した。従来の0.03g/cm^3よりも、0.01g/cm^3および0.01+0.03g/cm^3の二層一体型(これも独自に新規開発)では明らかに衝突粒子の残存捕集率が向上しているという初期解析結果を得た。地球周回軌道上を超高速度で周回する宇宙塵を非破壊捕集する上で、捕集材の密度は直に捕集性能を左右する。0.01g/cm^3という超低密度のエアロゲルがこれまで宇宙実験に使用されたことはなく、本研究により世界最高水準の捕集材エアロゲルが利用可能となった。
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Research Products
(5 results)