2007 Fiscal Year Annual Research Report
用途廃止と払い下げを伴う公共住宅ストックの再編に関する研究
Project/Area Number |
07J02694
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小山 雄資 University of Tsukuba, 大学院・システム情報工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 用途廃止 / 払い下げ / 公共住宅政策 / 住宅ストック / 公営住宅 / 民間賃貸住宅 / ストック総合活用計画 / 再編 |
Research Abstract |
今年度は、戸数削減を伴う公営住宅の再編計画のなかでも先行的かつ大規模な事例として、2006年3月に公表された香川県の「県営住宅ストック総合活用計画」を取り上げた。計画によって想定される結果を分析し、ストック再編の評価を試みることを研究の主眼とした。評価にあたっては、再編計画が居住世帯のいる住棟を対象としていることから、転居の可能性に着目した。 具体的には、転居を余儀なくされる世帯と想定される転居先を明らかにし、両者の数と地域的分布を比較した。公営住宅への転居については、計画の内容と策定過程に関する資料の収集・分析に加えて行政担当者と居住世帯からの聞き取りをおこなった。さらに、転居先となる県営住宅が最も不足する高松市において、賃貸物件情報の分析を通して、民間賃貸住宅への転居について考察を加えた。 分析の結果から、転居の可能性からみた再編計画の問題点として、転居を要する世帯が入居できる住宅は大きく不足すること、想定される転居先が遠隔地となる場合があること、の2点を指摘した。また、県営住宅の再編を通して、高松市内では中心市街地での低家賃住宅の減少と高齢世帯の中心部から郊外部への転居が予想されることから、転居先となる住宅の分布を考慮した計画見直しの必要性が提起される。 研究の途上で、当初の再編計画は大幅な見直しが行なわれた。公共住宅ストックの再編は流動的な計画課題であり、政策形成過程における諸要因の考察が今後の課題である。
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Research Products
(3 results)