2008 Fiscal Year Annual Research Report
リング結晶の無電極測定による電荷密度波永久電流の観測
Project/Area Number |
07J02696
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
坪田 雅功 Hokkaido University, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 電荷密度波 / トポロジー / 量子干渉 / 結晶 / 転位 |
Research Abstract |
微視的な世界で適用される量子力学が巨視的な世界でも適用されるかどうかは未だ議論の最中である。この議論には質量が関係している。例えば、電子一個では種々な量子現象が観測されるが、数百倍や数千倍、またはそれ以上の質量をもつ場合に量子現象が起こりえるかどうかというのが巨視的量子現象の考えである。そのような中で、電子が集団で運動を起こす電荷密度波(CDW)状態は、クーパーペアによる超伝導状態とは別の観点から、この問題を解決する可能性がある。CDWの量子力学的な現象はすでにいくつか報告されているが、それらはCDWそのものの現象というよりはサイズ効果等による影響が考えられる。そのような中で、申請者はCDWのループを作製することによって量子干渉効果の観測に成功した。これはCDWが動いているときに、ベクトルポテンシャルとカップリングしたという新しい発見である。このことから、CDWにおいても量子効果が起こりえるということがはっきりしたので、さらなる発展、例えば、デバイス開発等にも応用ができる。CDWの転位温度は高温超伝導より高いものもあるため、そのような量子デバイスにも期待ができる。応用のための研究として、電極端子によるピン止めがない無電極の測定が上げられる。CDWループに螺旋状に等位相面が進むラゲール・ガウシアン(LG)ビームを照射することは、通常の針状結晶に対する直線偏光のレーザー照射と同様の効果があることを確かめた。測定に用いるリング結晶は、そのサイズを数百nmから数十μmまでコントロール出来る。これはLGビームの絞りと同程度であり、無電極測定が可能であることを確かめた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Field-Induced Discommensuration in Charge Density Waves in o-TaS32008
Author(s)
K. Inagaki, M. Tsubota, K. Higashiyama, K. Ichimura, S. Tanda, K. Yamamoto, N. Hanasaki, N. Ikeda, Y. Nogami, T. Ito, H. Toyokawa
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Journal Title
Journal of the Physical Society of Japan 77
Pages: 093708-1-093708-4
Peer Reviewed
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