2009 Fiscal Year Annual Research Report
多ニューロン画像法を用いて海馬回路の演算様式を解明する
Project/Area Number |
07J02697
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐々木 拓哉 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 神経生理学 / イメージング / 海馬 / ニューロン / 活動電位 / アストロサイト / 自発活動 / カルシウム |
Research Abstract |
1.昨年度に引き続き、多ニューロンカルシウム画像法の改良に取り組んだ。今期は、海馬のみならず、多数の脳領域において画像法の効率を検討した(Namiki et al.2009)。大脳皮質や嗅球では、カルシウム蛍光指示薬の導入効率が高いことを見出した。 2.さらに、画像法を応用し、神経回路内の多数のシナプス結合を検出するための新規光学実験技法を開発した(ROTing法)。これにより、脳スライス標本内の数百個のシナプス結合の同定が可能となり、神経回路の作動原理を追究する上で、有用な技法になると期待される(Sasaki et al.2009)。 3.蛍光イメージング下でパッチクランプ記録を効率的に実現するため、蛍光パッチクランプ電極の開発を試みた(Ishikawa et al.2010)。この電極の開発に成功し、神経細胞の樹状突起や軸索など、細かい構造体からのパッチクランプ記録が容易に実現可能となった。この発明は、現在特許申請中である。 4.軸索周辺に存在するアストロサイトが、活動電位の軸索伝播、およびその下流のシナプス伝達をどのように調節するか検討している(現在進行中)。これまでに、軸索近傍のアストロサイトの活動が、軸索を伝播する活動電位の幅を増大させ、その下流で生じるシナプス伝達を増強させることが明らかになった。この結果は、アストロサイトが軸索を伝播する活動電位の幅を調節することで、従来考えられていたより広範な影響を及ぼすことが示唆された。これは、グリア-ニューロン相互作用を介した神経回路の調節メカニズムに関する新たな知見であると考えられる。
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Research Products
(9 results)