2007 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン類とフラボノイド類の認識機構の解析-AhRを介した応答を中心に-
Project/Area Number |
07J02708
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱田 美影 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ダイオキシン / フラボノイド / 腸管上皮 |
Research Abstract |
近年、環境汚染物質の生体への侵入が大きな問題となっており、中でも内分泌攪乱作用などごく微量で毒性を持つと知られているダイオキシン類はこれまで盛んに研究がおこなわれているが、多岐にわたっている毒性発現メカニズムに関してはまだほとんど明らかになっていないのが現状である。 ダイオキシンはダイオキシン受容体を介して様々な薬剤代謝酵素を誘導することが知られている。そこで食品因子であるフラボノイドの腸管上皮細胞における吸収、代謝に与える影響を検討し、さらにダイオキシンが腸管上皮における遺伝子発現に及ぼす影響などを解析することで、ダイオキシンが腸管における食品成分の吸収・代謝機能に及ぼす作用に関して新たな知見を得ることを目的とした。 ダイオキシン(TCDD)でヒト腸管上皮由来細胞Caco-2を24時間処理すると、フラボノイドを酸化する第一相薬物代謝酵素の発現がmRNA,タンパク質共に顕著に亢進し、一方抱合化をおこなう第二相薬物代謝酵素やトランスポーターの顕著な発現変動はみられなかった。 次にTCDDで処理したCaco-2細胞を透過したフラボノイドを定量したところ、フラボノイドの透過量の減少がみられた。またフラボノイドの全体量も減少していたことから、Caco-2細胞によって代謝された量が増加していると考えられた。さらにフラボノイドの代謝産物について解析したところ、TCDDで前処理をしたことでCaco-2細胞により酸化されたフラボノイドの量が増加し、抱合体へ代謝されたフラボノイドの量が減るといった代謝産物の割合の変化がみられた。 以上の結果より、TCDDが腸管上皮の第1相薬物代謝酵素を誘導し、フラボノイドの代謝量の増加、代謝物の種類の変化をおこし、腸管上皮透過後のフラボノイドの生理機能に影響を与えることが示唆された。
|
Research Products
(3 results)