2009 Fiscal Year Annual Research Report
ダイオキシン類とフラボノイド類の認識機構の解析-AhRを介した応答を中心に-
Project/Area Number |
07J02708
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱田 美影 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 腸管上皮 / 代謝 / フラボノイド / 第一相薬物代謝酵素 / ダイオキシン / アリルハイドロカーボンレセプター |
Research Abstract |
【ヒト腸管上皮細胞におけるメトキシフラボノイドの吸収・代謝及び代謝物の排出】 ヒト腸管上皮モデルとしてCaco-2細胞及びヒト小腸ミクロソームを用いて、メトキシフラボノイドtangeretinの吸収や代謝について検討をおこなった。 Caco-2細胞またはヒト小腸ミクロソームと共にtangeretinを37℃でインキュベートし、LC/MS/MSを用いて代謝産物の探索をおこなった。その結果、脱メチル化や酸化などを受けた代謝物がCaco-2細胞では7種類、ヒト小腸ミクロソームでは8種類検出された。さらにCYPの発現量から推察される通り、Caco-2細胞ではCYP1A1がヒト小腸ミクロソームではCYP3A4が主に代謝に関与していると考えられた。 また半透過性膜状に培養したCaco-2細胞を用いて、代謝物の細胞外排出の挙動について検討をおこなった結果、ほとんどの代謝産物が管腔側へより多く排出されることがわかった。 【AhRに対するフラボノイドの作用】 以前の研究において、フラボノイドがダイオキシンによって誘導されたAhRの活性化を抑制することを確認した。そこでフラボノイドとAhRの相互作用について検討をおこなうこととした。 まずAhRの核内移行に対するフラボノイドの影響について検討したところ、ダイオキシンによって誘導されたAhRの核内移行に対してフラボノイドはあまり抑制活性を有さず、フラボノイド自身もAhRの核内移行を引き起こすことがわかった。 そこでAhRのリガンド結合領域タンパク質を大腸菌によって発現、精製し、水晶振動子マイクロバランス法を用いてフラボノイドとAhRの直接的相互作用解析を試みた。さらなる検討が必要な段階ではあるが、AhRリガンド結合領域にフラボノイドが結合することや、フラボノイドが結合した状態ではダイオキシンが結合できなくなることを示唆する結果がみられた。 以上のことより、フラボノイドはダイオキシンとAhRとの結合において競合し、フラボノイドが結合したAhRは核内に移行するが、その転写活性はダイオキシン活性型AhRに比べて弱いことが考えられた。
|
Research Products
(2 results)