2008 Fiscal Year Annual Research Report
管状要素分化を基盤とした陸上高等植物における形態形成制御機構の統合的解析
Project/Area Number |
07J02718
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小田 祥久 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 細胞分化 / 転写因子 / 細胞壁 / 細胞骨格 / 微小管 / 管状要素 / 木部 |
Research Abstract |
管状要素は、道管液の輸送および個体の機械的支持を担う、陸上高等植物の形態形成において重要な細胞のひとつである。本研究では、シロイヌナズナ培養細胞を用いた管状要素の新規分化誘導系の開発と、管状要素分化という現象の分子レベルでの解明、さらに管状要素分化を中心とした維管束植物の形態形成の統合的な理解を試みる。研究計画の2年目にあたる今年度では、初年度に確立した、シロイヌナズナ培養細胞を用いた新規管状要素分化誘導系の開発を用いて、管状要素分化の分子機構の解明を目指し研究を行った。まず、分子機構を効率的に解析するために、シロイヌナ培養細胞への高効率の遺伝子導入法の開発を行った。その結果、最大で6割の細胞に遺伝子を導入することに成功し、さらに複数の遺伝子を同時に導入することも可能になった。この遺伝子導入法を駆使し、細胞骨格マーカー遺伝子を導入し、微小管およびアクチン繊維を可視化した。管状要素分化時における微小管の動態を解析した結果、微小管が細胞内において局所的に分解されていることが明らかになった。アクチン繊維は間接的に微小管の動体制御に関わっていることが示唆された。このような微小管の挙動を制御するメカニズムを明らかにするために、GeneChipによって網羅的な遺伝子発現解析を行った。その結果、管状要素分化特異的に発現が上昇する遺伝子群の同定に成功した。これらの遺伝子群の中から、細胞骨格関連の遺伝子を抽出し、機能解析を進めたところ、管状要素分化において観察された微小管の局所的な分解に関わっている遺伝子を見出すことに成功した。現在この因子がどのようにして微小管を分解しているのか、微小管の分解部位を決定しているのかの解析を進めている。
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Research Products
(3 results)