2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02720
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
瀬戸 雄介 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 炭酸塩 / ダイアモンドアンビルセル / 高温高圧 / ダイアモンド / 放射光X線回折 / 透過電子顕微鏡 / カルサイト / マグネサイト |
Research Abstract |
海洋地殻とともに沈み込む炭酸塩鉱物がどのような相転移・分解反応をおこすのか明らかにするため、高温高圧再現実験を行った。本年次では炭酸塩鉱物とケイ酸塩岩(玄武岩)との反応を調べた。炭酸塩鉱物は海洋地殻の代表的な生体由来堆積物であるカルサイト(CaCO_3)を用いた。玄武岩ガラスは酸化物試薬の混合物を電気炉で全溶融させたものを落下急冷して作成した。玄武岩ガラスは鉄の価数を二価に保つように雰囲気制御下で酸化状態を制御した。この玄武岩ガラスおよびゲルと炭酸塩鉱物を機械的に混合して出発物質とした。出発物質の化学組成の評価は電子線プローブマイクロアナライザを用いた。高圧実験はダイアモンドアンビルセルを用いて、30〜60GPa程度の比較的ダイアモンドの損傷が少ない圧力を発生させた。また高温の発生にはYLFレーザーを両面から垂直入射させ試料室の加熱をおこない、1500〜2000K程度の温度条件を再現した。このようにして合成した試料に対し、放射光施設(Spring-8および高エネルギー加速器研究機構)を利用し、X線によるその場観察から相同定および格子定数の精密解析をおこなった。さらに合成した試料を回収後、イオン研磨装置を用いて薄膜化し、透過電子顕微鏡観察をおこなった。実験の結果、海洋地殻と沈み込んだカルサイト(CaCO_3)はまずマグネシウムを含むケイ酸塩鉱物と反応してマグネサイト(MgCO_3)に変化することがわかった。さらに高温高圧では、MgCO_3+SiO_2(シリカ高圧相)→Mg-Pv(マグネシウムペロブスカイト)+CO_2(固体二酸化炭素)という反応が起こり,さらにCO_2→C(ダイアモンド)+O2(固体酸素)という反応が連続的に起こっている可能性が高いことがわかった。
|