2007 Fiscal Year Annual Research Report
メタンハイドレートの高温高圧下の相変化と海王星・天王星氷マントルの状態の推定
Project/Area Number |
07J02727
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
町田 真一 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | メタンハイドレート / 氷惑星 / 氷マントル / 高温高圧実験 / 相変化 / 高圧安定性 |
Research Abstract |
メタンハイドレートは、外惑星やその衛星の主要な構成成分の一つと考えられている。海王星や天王星などの氷惑星では、構成成分や内部構造が探査機や理論計算から予測されており、氷層にメタンハイドレートが存在している可能性がある。しかしながら、氷惑星内部に匹敵する温度圧力下でのメタンハイドレートの状態を調べた実験はこれまで報告されていなかった。そこで、本研究では、高温高圧実験を行い、氷惑星内部条件におけるメタンハイドレートの状態を明らかにした。実験の結果メタンハイドレートは、10GPa、2000Kで氷とメタンに溶融・分解し、溶融したメタンはさらに分子重合して、エタンを生成することが明らかとなった。この結果から、天王星や海王星内部には水、メタン、エタンの高温高圧流体が存在している可能性が示された。また、メタンハイドレートは他のガスハイドレートと比較して、際立った高圧安定性を示している。このことから、メタンハイドレートの構造内では、高圧安定性を保証する特異的な相互作用が働いていることが予測される。この相互作用を検出し、その高圧安定性への寄与を明らかにすることも本研究の目的であった。メタンハイドレート内のメタン分子の振動状態を調べた結果、構造内のゲストメタン分子が、15から20GPa付近で配向の秩序化を起こすことが明らかとなった。さらに40GPa付近では、フレームワークの水分子に水素結合の対称化が起こる可能性が示された。これらのゲストメタン分子の配向の秩序化やフレームワーク水分子の水素結合対称化によって、新たな相互作用がゲストーゲスト問およびゲストーホスト間で生じ、この分子間相互作用がメタンハイドレートの安定性を導いていると考えられた。
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