2008 Fiscal Year Annual Research Report
メタンハイドレートの高温高圧下の相変化と海王星・天王星氷マントルの状態の推定
Project/Area Number |
07J02727
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
町田 真一 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | メタンハイドレート / 水素ハイドレート / 氷惑星 / 高圧実験 / 高圧相転移 / 高圧安定性 / 分子間相互作用 |
Research Abstract |
メタンハイドレートは、外惑星やその衛星の主要な構成成分の一つと考えられている。海王星や天王星などの氷惑星では、構成成分や内部構造が探査機や理論計算から予測されており、氷層にメタンハイドレートが存在している可能性がある。しかし、氷惑星内部に匹敵する温度圧力下でのメタンハイドレートの状態を調べた実験はなかった。また、太陽系で最も豊富に存在する水素のハイドレートが氷衛星やプロトスターに存在する可能性が示唆さているが、水素ハイドレートの高圧相変化なども明らかにされていなかった。さらに、メタンハイドレートと水素ハイドレートは、他のガスハイドレートと比較して際立った安定性を示しており、メタンハイドレート、水素ハイドレートのみに高圧安定性を保証する特異的な分子間相互作用が働いていることが予測できる。そこで本研究では、氷惑星内部条件におけるメタンハイドレートの状態や、水素ハイドレートの高圧相転移を明らかにし、またハイドレート内の分子間相互作用を調べることを目的として、メタンハイドレート、水素ハイドレートの高圧実験を行った。本年度は、主に水素ハイドレートの高圧実験を行った。X線回折実験により、水素ハイドレートは、35〜40GPa付近で、フレームワーク水分子に水素結合対称化が生じ、これに誘発されて、新たな高圧相へ転移することが示された。さらに、分光学的な実験により、固体水素では一般的に観察されるカップリング現象が、水素ハイドレート内では抑制されることを明らかにした。また、ゲスト水素分子の回転が抑制されることをとらえた。固体水素では、水素分子の回転が止まるためには160GPa以上の高圧が必要であることを考慮すると、構造内での回転抑制はフレームワークによる強い相互作用が働いる結果であると考えられた。
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