2007 Fiscal Year Annual Research Report
数理学的モデルを利用した薬物トランスポータ輸送ネットワークの解明
Project/Area Number |
07J02753
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 真弘 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トランスポータ / シミュレーション / 数理学的モデル / 尿細管分泌 / 有機カチオン / in silico |
Research Abstract |
カチオン性薬物の尿細管分泌は、複数のトランスポータによって制御されていると考えられているが、実験的に証明することは困難である。そこで本研究では、数理学的モデルとコンピュータシミュレーションを利用して複数のトランスポータからなる薬物輸送ネットワークをin silicoで構築し、様々な条件におけるシステム制御を明らかにすることを目的とする。本年度は、刷子縁膜に発現するH^+/有機カチオンアンチポータMATE1シミュレータ構築の基盤となるデータの収集を行った。 膜小胞を用いたMATE1の駆動力の直接的な同定 MATE1安定発現HEK293細胞より調製した膜小胞を用いて、典型的有機カチオンであるテトラエチルアンモニウム(TEA)の取り込みを種々H^+勾配存在下で測定したところ、逆向きのH^+勾配存在下でのみ、TEA取り込みの顕著な一過性の上昇(オーバーシュート現象)が観察された。また、TEA輸送量は小胞内負の膜電位には依存しなかった。これらの結果より、逆向きのH^+勾配がMATEIの駆動力として機能していること、H^+と有機カチオンとの交換輸送の化学量論比は1:1であることが示唆された。 MATEIに対する種々カチオン性薬物の親和性の評価 17種のカチオン性薬物を選択し、MATE1を介したTEA輸送に対する種々薬物の阻害実験を行うことで親和性を評価した。その結果、H_2受容体拮抗薬が高親和性を示すことが明らかとなった。さらに、MATE1と協調してカチオン性薬物の腎排泄に関与している有機カチオントランスポータ2(OCT2)に対する親和性の文献値とMATE1に対する親和性を比較した。H_2受容体拮抗薬を除いて、刷子縁膜側のMATE1の方が側底膜側のOCT2より低親和性を示した。これらの結果は、MATE1及びOCT2シミュレータによる薬物輸送ネットワークを構築する際に有益な情報になると考えられる。
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Research Products
(3 results)