2008 Fiscal Year Annual Research Report
数理学的モデルを利用した薬物トランスポータ輸送ネットワークの解明
Project/Area Number |
07J02753
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 真弘 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トランスポータ / 尿細管分泌 / 有機カチオン / 薬物相互作用 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
カチオン性薬物の尿細管分泌は、複数のトランスポークによって制御されている。本研究では、この薬物輸送ネットワークをin vitro及びin vivoにおいて解明することを目的とする。本年度は、ヒト(h)近位尿細管上皮細胞のモデルとなるhOCT2/hMATE1共発現系を用いて、カチオン性薬物のシメチジンとメトホルミンの相互作用におけるMATE1の関与にっいて精査すると共にマウスを用いてメトホルミンの体内動態実験を行った。 腎有機カチオン輸送系を介した薬物相互作用におけるMATE1関与 H_2受容体拮抗薬シメチジンは、hOCT2よりもhMATE1に対して高親和性であり、臨床において上皮細胞内でhMATE1を阻害する濃度になることが想定された。hOCT2/hMATE1共発現系を用いて、両トランスポークの基質である糖尿病治療薬メトホルミンの輸送に対するシメチジンの影響を調べたところ、臨床血中濃度に近い1μMシメチジン共存によりメトホルミンの側底膜側から頂側膜側への経細胞輸送は減少し、細胞内蓄積は増加した。これより、シメチジンは臨床血中濃度でhMATE1を特異的に阻害し、メトホルミンとの相互作用においてhMATE1の関与が示唆された。 マウスを用いたメトホルミン動態実験 新たにMate1ノックアウトマウスを作製しメトホルミンの体内動態実験を行った。野生型マウスと比較してノックアウトマウスのメトホルミン血中濃度及び腎組織中濃度は顕著に上昇し、尿中排泄量は有意に減少した。速度論的解析により、メトホルミンの腎及び分泌クリアランスは有意に減少した。これらの結果は、メトホルミンの腎排泄過程においてMATE1が重要な役割を担っていることを示し、MATE1の薬物動態学的役割の解明に有用な情報を提供するものと考えられる。
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Research Products
(5 results)