2009 Fiscal Year Annual Research Report
数理学的モデルを利用した薬物トランスポータ輸送ネットワークの解明
Project/Area Number |
07J02753
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
津田 真弘 Kyoto University, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | トランスポータ / 尿細管分泌 / 有機カチオン / ノックアウトマウス / メトホルミン |
Research Abstract |
カチオン性薬物の尿細管分泌は、複数のトランスポータによって制御されている。本研究では、この薬物輸送ネットワークをin vitro及びin vivoにおいて解明することを目的とする。本年度は、Mate1ヘテロ欠損マウスを用いてメトホルミン動態実験を行い、さらに、Mate1ノックアウトマウスにおいて、定常状態におけるメトホルミンの動態解析により、メトホルミン分泌へのMATE1の寄与率を算出した。 Mate1ヘテロ欠損マウスを用いたメトホルミン動態実験 野生型マウスの約半分程度のMATE1タンパク質発現量である物Mate1ヘテロ欠損マウスを用いてメトホルミンの動態を調べたところ、血中濃度、腎組織中濃度及び尿中排泄量のいずれも野生型マウスとの間で有意な変化は認められなかった。この結果は、糖尿病患者において、メトホルミンの動態に対し、MATE1の一塩基多型の与える影響は小さいというヒトでのデータとよく対応していた。本研究で得られた結果は、マウスのデータをヒトに外挿する上で有用な情報を提供するものと考えられる。 Mate1ノックアウトマウスを用いた定常状態におけるメトホルミン動態実験 定常状態における動態実験により、正確な動態パラメータを算出することができ、メトホルミンの分泌におけるMATE1の寄与率を算出することができる。そこで、野生型マウス及びMate1ノックアウトマウスを用いて、メトホルミン持続静注時の血中濃度及び尿中排泄量を測定し、求められた分泌クリアランスは、野生型マウスと比較してMate1ノックアウトマウスにおいて85%減少したため、MATE1は、メトホルミンの分泌の85%分寄与していることが判明した。本研究で得られた結果は、トランスポータの寄与率を算出したという点で、薬物トランスポータ輸送ネットワークの解明に重要な情報を提供するものと考えられる。
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Research Products
(7 results)