2007 Fiscal Year Annual Research Report
トランスクリプトームの網羅的解析によるクロマツのマツ材線虫病抵抗性要因の解明
Project/Area Number |
07J02766
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
能勢 美峰 Kyushu University, 農学研究院, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マツノザイセンチュウ / Real-time PCR / 抵抗性 / クロマツ / マツ材線虫病 / 増殖特性 |
Research Abstract |
マツ材線虫病は、伝播者マツノマダラカミキリによって運ばれるマツノザイセンチュウ(以下、線虫)がマツ樹体内に侵入することによって発病する。マツ材線虫病に対する抵抗性は複数の要因(遺伝子)によって支配されていると推定されている。各抵抗性クロマツクローンの持つ抵抗性要因を明らかにすることは、今後の育種戦略を策定する上でも、また、抵抗性メカニズムの解明のためにも意義のあることである。 線虫の増殖抑制は抵抗性要因の一つとして考えられている。そこで今回、抵抗性と非選抜(以下、非抵抗性)個体への線虫接種を行い、6日後に線虫頭数を調査した。その方法として、木材中より線虫DNAの直接抽出法と、Real-time PCR法を用いた線虫頭数の定量法を確立した。これによって、木材から直接、高い精度で線虫の定量を行えるようになった。分析の結果、抵抗性グループと非抵抗性グループ間では線虫増殖に有意差は認められなかった。しかし、線虫増殖は個体間で異なっており、さらに個体と組織(木部と樹皮)間で相互作用があることが明らかになった。抵抗性クローンには、木部のみで線虫増殖が抑制されているもの、樹皮のみで抑制されているもの、または木部と樹皮の両方で抑制されているものの3タイプが存在した。以上より、線虫の増殖を抑制する抵抗性クローンとしないクローンが存在すると推定され、増殖抑制しない抵抗性クローンは他の抵抗性要因を保有していると考えられる。
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Research Products
(2 results)