2007 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエを用いたASKファミリー分子によるストレス受容メカニズムの解析
Project/Area Number |
07J02772
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関根 悠介 The University of Tokyo, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分子生物学 / 遺伝学 / ストレス応答 / アポトーシス / ショウジョウバエ / シグナル伝達 / ASK1 |
Research Abstract |
ストレス応答性MAPキナーゼ経路は細胞内外の環境変化に対する細胞応答に重要な役割を果しているシグナル伝達経路である。ASK1は酸化ストレスなど、様々なストレス刺激によって活性化され、JNK,p38MAPキナーゼ経路を活性化して、アポトーシスをはじめとする多様なストレス応答を誘導するシグナル伝達分子である。これまで、生体における種々の生理的・病理的ストレス応答におけるASK1シグナルの重要性が明らかとなってきた一方で、各細胞がいかにしてこれら多様なストレスとASK1シグナルとを結びつけているのか、すなわちストレスの受容・認識からASK1の活性化に至る分子メカニズムについては未解明の部分が多く残されている。そこで本研究において私は、遺伝学的解析が容易なショウジョウバエを用いて、ASK1活性化因子探索のための遺伝学的スクリーニング系を確立した。このスクリーニングを行った結果、複数のASK1活性化因子の候補遺伝子を得た。その中のひとつの機能未知遺伝子(KUMA1とする)についてさらに解析をすすめたところ、KUMA1はショウジョウバエにおいても、哺乳類培養細胞においてもASK1の活性化因子として機能していることが明らかとなった。今後は、KUMA1によるASK1活性化の分子メカニズムをさらに詳細に検討していくとともに、KUMA1を介したASK1シグナル制御の生理的意義についても明らかにしたい。近年、酸化ストレスや小胞体ストレスなどによって惹起されるASK1の活性化を介した細胞死が、神経変性疾患をはじめ、ヒトの様々な疾患に関与することが明らかになりつつあり、ASK1とストレスとを結ぶ制御因子群の解析は、創薬の標的という観点からも重要な知見を与えてくれるものと期待される。
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Research Products
(2 results)