2007 Fiscal Year Annual Research Report
触覚と視聴覚間の共通性を規定する短期的・長期的記憶メカニズムの解明
Project/Area Number |
07J02780
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鍋田 智広 Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 触覚 / 感覚様相間共通性 / 記憶表象 / 発達 |
Research Abstract |
報告者は触覚を中心に触覚と視聴覚間の共通性を可能にする記憶メカニズムの解明を目的とした研究を行った。特に短期的・長期的な記憶における触覚と視聴覚間の通様相性を調べた。複数の感覚様相に共通のメカニズムの一般性を調べるために,物体と言語という異なる種類の刺激を用いた。具体的には,触覚刺激として物体,視覚刺激として画像と単語,聴覚刺激として単語を用いて,触覚記憶の限界を調べた。具体的には学習と再認テストからなる方法を用い,学習時と異なる再認テストを行った場合の再認成績を学習時と同一の再認テストを行った成績とを比較する実験研究を行った。本研究の実験は,人間の触覚の記憶表象は精緻に構成されていることを示した。本研究は物体認知能力を持つものの,看過されてきた触覚を扱ったものである。また,その触覚を扱った心理実験の研究においてすら記憶を調べたものはごく僅かである。両者を扱った本研究は触覚研究だけでなく記憶研究において新たな知見を提供する点で理論的に意義深いといえる。この研究の成果の一部は,米国で2007年11月に開催された48th Annual Meeting of the Psychonomic Societyで発表した。加えて,発展的な研究として報告者は記憶表象の形成過程を調べる上で発達的な視点から実験研究を行った。この研究では,記憶表象は幼児期から青年期にかけて意味的に広範になる形式で発達することが示された。この研究成果は「心理学研究」誌に発表した。また研究成果の一部は,2007年5月に開催された認知心理学会で口頭発表し,また2008年3月に開催された発達心理学会で発表した。
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Research Products
(8 results)