2009 Fiscal Year Annual Research Report
触覚と視聴覚間の共通性を規定する短期的・長期的記憶メカニズムの解明
Project/Area Number |
07J02780
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鍋田 智広 Kyoto University, 教育学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 触覚 / 感覚様相間共通性 / 記憶形成 / 虚偽記憶 / 認知発達 |
Research Abstract |
私は触覚を中心として,触覚と視覚,聴覚の間の共通性を可能にする記憶のメカニズムの解明を目的とした研究を行った。本年度は短期的な記憶と長期的な記憶メカニズムのモデルを構築する上で必要となる,発展的研究を行い,異種感覚モダリティの通様相性を可能にする一般的な記憶モデルについて検討した。私は,100編以上の先行研究を整理し新たに理論を構築し心理学評論誌に発表した。また,意味的情報は,異種感覚モダリティ間の通様相性可能にする情報である。そこで私は,対象からの意味の抽出,およびその適用のプロセスを取り上げた。本研究では,自閉症と診断された幼児・児童を対象として意味的な処理能力を検討した研究を行った。この研究から,意味処理能力には自閉症によって保たれる能力があることが示された。この成果は心理学評論誌に発表した論文に執筆した。さらに,異種感覚モダリティの通様相性とは,判断される中心的な情報の転移を可能にする性質であると考えることができる。報告者は中心的な情報だけでなく,判断に直接影響しない周辺的な情報の変化が,中心的な情報の判断に及ぼす影響を検討する研究を行った。本研究は,この周辺情報の一致効果が中心的な事柄に関連した事柄に対しても認められることを示した。この研究成果の一部は,「虚再認の生起に及ぼす環境的文脈の効果」という表題で心理学研究誌に採択され,掲載された。またThe 8th biennial meeting of the society for applied research in memory and cognition(SARMAC)において口頭発表し,50th annual meeting of psychonomic societyにおいてポスター発表した。私はこれまでの研究成果をまとめ,報告者の記憶モデルを現在の虚偽記憶の理論的な背景上に位置づけるための論文を執筆した。現在の研究では虚偽記憶は自動的に活性化する記憶表象に起因するとされることが多いが,本論文ではこうした現在のモデルでは説明しにくい現象として主観的想起経験を挙げた。この研究成果の一部は,2009年の日本心理学会において発表した。 \
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Research Products
(6 results)