2008 Fiscal Year Annual Research Report
アクチニド化学への相対論的密度汎関数理論によるアプローチ
Project/Area Number |
07J02793
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
服部 達哉 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アクチニド化学 / ウラニル / 密度汎関数理論 / 環境化学 |
Research Abstract |
放射性廃棄物地層処分の安全性・信頼性向上に寄与する知見を与えるため,ウラニルを対象アクチニドとし,特にウラニルの還元,鉱物表面への吸着,表面での還元反応を解明するためのDFTによる理論化学的手法を構築・提案することを目的とした。 1.ウラニルの還元反応の理論的予測・再現を扱った。DFTを用いた計算は,既往の研究で問題点が指摘されていた.本研究では,DFTでの問題点・解決法を解明することを目的とした.結果として,DFTでウラニルの還元を扱うことが問題ではなく,反応のモデル化,電子状態の記述に問題があったことが分かった.同様なアクチニル結合を有するNp,Puに対しても応用可能との見通しが得られている. 2.ウラニルの鉱物表面での吸着構造を解明する手法を構築し,吸着構造をEXAFS実験と併せて明らかにすることを目的とした,鉱物は金属水酸化物のモデルとしては,ギブサイトを用いた.DFTによるギブサイト表面は,Al6量体クラスターを用いてモデル化した.これは今までウラニル多核種の吸着や,表面沈殿と言及されるに留まっていたものに対して,DFTとEXAFSの両面から妥当な構造を提案したといえる. 3.共存イオンとしてオルトケイ酸が存在した場合の吸着構造を明らかにすることを目的とした.共存イオンのウラニルの吸着に対する影響を,pHによる吸着構造の変化まで含めて提言することができた. 4.環境中でのウラニルの還元を扱った,環境中ではある種の有機酸が共存するか,Fe(II)が鉱物として存在するとウラニルの還元が起こることが知られている.そこでFe(II)を還元剤とした反応をモデル化し,反応機構を解明することを目的とした。本研究では,環境中でのウラニルの還元について,複核錯体形成による内圏電子移動,鉱物表面への吸着による電子移動が反応機構の一つとして妥当であることが分かった.
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Research Products
(1 results)