2007 Fiscal Year Annual Research Report
マウス及びヒトES細胞・組織幹細胞を用いた網膜再生医療モデルの確立
Project/Area Number |
07J02822
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
青木 仁美 Gifu University, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ES細胞 / 網膜 / 再生医療 / 移植 / 網膜神経節細胞 / 網膜色素上皮細胞 / 組織乾細胞 / 色素細胞 |
Research Abstract |
網膜神経節細胞(RGC)は視覚刺激を脳へ伝えるため視神経乳頭へ軸索を伸長し、脳へ伸びる視神経を形成する。網膜色素上皮細胞(RPE)は光刺激を電気刺激に変換する視細胞の代謝を行う。RGCの軸索が形成する視神経乳頭やRPE(とRPEの機能異常から二次的に変性される視細胞)の変性は、緑内障や加齢性黄斑変性症の原因であり、これらは先進国の主要な失明原因であるが、根治的な治療法はない。こうした完治させる方法のない進行性の変性症に対し、ヒトへの臨床応用につながるようなES細胞・組織幹細胞を用いた網膜再生治療動物モデルを確立する事を目的に、試験管内でマウズES細胞から分化誘導した眼球様の構造(以下、眼様構造)に存在するRGCとRPEが成体マウス、特にこれらの細胞が障害され進行性の網膜変性を示すモデルマウスにおいて、変性を抑制し正常な網膜へ回復させる能力を有するかを形態的・電気生理学的に評価した。まず、RGCに関しては、NMDAによるRGC障害網膜をES細胞由来眼様構造と共培養する網膜器官培養系を用い、眼様構造に存在すRGCの網膜への寄与、特にRGCへの寄与とRGCのマーカータンパクの発現をin vitroで調べ、眼様構造由来RGCが選択的に障害されたRGCに移動、分化する事を観察し、この内容を論文にまとめて報告した。さらに同RGC障害モデルマウスへ眼様構造の移植を行い、眼様構造由来のRGCが障害されたRGCへ寄与する事、ES細胞由来眼様構造に存在するRGCが視神経乳頭へ軸索をのばす事をin vivoで観察した。しかしながら、視神経が脳へ投影されている事を示す活動電位(VEP)は検出されず、機能的な回復を証明するには至らなかったが、これらの内容を論文にまとめて報告した。RPEに関してはRPEやRPEの前駆細胞でGFPを発現するトランスジェニックマウスからES細胞を樹立し、眼様構造を誘導し、GFPの発現を指標にRPEやRPE前駆細胞を単離しているが、移植するに十分量の細胞を得るには至っていない。また、レシピエントとなるRPE変性モデルマウスを導入し、移植のタイミングを決定するために、変性の時期や程度を調べている。
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