2007 Fiscal Year Annual Research Report
GATA-1発現が減弱する突然変異ゼブラフィッシュ系統の解析と原因遺伝子同定
Project/Area Number |
07J02836
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
竹内 未紀 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 細胞の運命決定 / 血球分化 / 転写因子gata1 / ゼブラフィッシュ突然変異体 / 血球分化のエピジェネティックな制御 |
Research Abstract |
目的 赤血球造血に必須な転写因子GATA-1に着目し、その発現制御機構の解明を通して造血幹細胞から赤血球への運命決定のしくみを理解することにある。この目的を達成するために、Gata1遺伝子の発現を誘導する未知因子の探索として、ゼブラフィッシュ Gata1遺伝子(gata1)の発現が減弱する突然変異系統をスクリーニングし、単離したit627系統について解析を進めている。 成果 ・性状解析 it627は、循環赤血球数が約1/3に減少する突然変異体であり、細胞形態解析の結果、赤血球分化が遅延していることがわかった。また、各血球系列のマーカー遺伝子の発現を解析すると、血球共通前駆細胞マーカーsc1と骨髄球前駆細胞マーカーpu.1の発現には変化は見られず、gata1とその下流遺伝子群のみ発現が減少していたことから、本系統は、血液前駆細胞は形成されるものの、分化のごく初期段階に異常を示すことが示唆された。これに加えて、taga1-GFP系統を用いた発現量解析も計画していたが、解析系として適当ではなかったことから断念した。また、移植実験による細胞自律性の解析については現在解析中である。 ・責任遺伝子同定 遺伝子マッピングから浮かびあがった候補遺伝子のcDNAとゲノムDNAのシークエンス解析を行い、変異点を同定した。野生型系統を用いて候補遺伝子のノックダウン解析を行うと、it627系統と同様にgata1発現の減弱が観察され、逆に、it627系統に候補遺伝子を過剰発現させるとその表現型が回復した。突然変異体の候補遺伝子産物は、1塩基置換により生じたストップコドンにより、活性中心を含むC末部分を欠落している。したがって、表現型の原因は、何らかの遺伝子領域における酵素活性不全にあると予想された。 これらの結果は、論文化するための骨子となるデータであり、当初計画していた1年目の目的を達成することができたといえる。
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Research Products
(3 results)