2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02871
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
土屋 陽介 Chiba University, 大学院・人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 懐疑論 / 疑い / 自然主義 / 可謬主義 / 超越論的論証 / 実在 / ストラウド / クワイン |
Research Abstract |
2007年度の研究においては、伝統的な哲学的懐疑論の問題が自然主議認識論の内部でどのように位置づけられるのかという問題に考察の焦点を合わせ、以上の研究課題に取り組むことを中心に研究を遂行した。具体的には、哲学的懐疑論の研究者ストラウドが、クワインの自然主義の立場に基づく反懐疑論に対して批判的検討を加えている議論を主題的に考察し、伝統的懐疑論をめぐるストラウドとクワインの論争が深刻な点において「すれ違い」に陥っていることを指摘した上で、両者の論争の背後にある真の争点が、「疑い」に対する二つの異なる捉え方-「疑い」の可謬主義的捉え方と、「疑い」の懐疑論的捉え方-をめぐる対立であることを明らかにした。以上の研究については、哲学若手研究者フォーラム「ストラウドvs.クワイン」ワークショップ(2007年7月)において提題者として口頭発表を行った際に、基本的なアイデアを最初に素描したが、その後、日本大学精神文化研究所共同研究プロジェクト最終研究発表会(2007年12月)における口頭発表を通して、いくつかの重要な論点に関して修正を加え、最終的に、論文「クワインの認識論と懐疑論の問題」として研究成果を発表した。なお、以上の論点をさらに発展させたものとして、論文「懐疑論の自然化とその帰結」をすでに作成しており、『哲学の探求』第35号(2008年5月刊行予定)への掲載が決定している。 また、以上の研究を遂行する過程において、クワインの認識論(特に決定不全性テーゼ)と懐疑論の関係を考察したベルクシュトレームの議論についても検討を行い、その成果は、論文「懐疑論者はノイラートの船を飛び降りて波間に漂う」として独立に発表した。さらに、超越論的論証と形而上学的実在の関係をめぐるストラウドの独自の哲学的考察に関しては、昨年度までの研究成果をまとめるかたちで、論文「ストラウドの不満足」を発表した。
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Research Products
(5 results)