2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02871
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
土屋 陽介 Nihon University, 文理学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 懐疑論 / 超越論的論証 / 自然主義的認識論 / バリー・ストラウド / 分析的カント主義 / 存在と実在性 / 初中教育における哲学教育 / 知識と教育 |
Research Abstract |
2008年度は、以下の三つの研究主題に取り組むことを通して、上記の研究課題の遂行と完成を目指した。1.哲学的懐疑論と自然主義的認識論における可謬主義の相違点の明確化。2.超越論的論証を用いた反懐疑論の一般構造の解明と、それを通した「実在」(および「存在」)概念の再検討。3.(特に日本国内の)初中教育において哲学教育を導入する可能性に関する調査・研究。 1は、2007年度から引き続き取り組んできた研究主題である。2007年度の研究において、哲学的懐疑論と自然主義的認識論における可謬主義との間には、「疑い」に対する二つの根本的に異なる捉え方が存在することが明らかになった。2008年度は、以上の論点を中心として、論文「懐疑論の自然化とその帰結」を発表した。 2については、超越論的論証を用いた反懐疑論に対するバリー・ストラウドの古典的反論を取り上げ、近年の英米哲学における超越論的論証研究と分析的カント研究の成果を踏まえた上で、ストラウドの反論の妥当性を批判的に検証した。なお、ストラウドの反論の骨子は、超越論的論証は「実在」に到達する力を欠いているので反懐疑論として無効である、というものであるため、以上の研究の遂行は、哲学的「実在」(および「存在」)概念の現代英米哲学の観点からの再検討に直結していた。 3については、日本大学文理学部(受入先研究機関)が所在する東京都世田谷区において、2007年度より公立中学校で哲学教育が開始されたことを受けて、世田谷区の哲学教育の実態の調査、ゲストティーチャー等のアウトリーチ活動、初中教育における哲学教育の海外での導入事例の調査などを行った。以上の研究内容については、哲学教育合同研究会の口頭発表にて中間報告を行ったが、本格的な成果報告としては、日本哲学会第68回大会での口頭発表、日本倫理学会第60回大会でのワークショップ発表を行うことが決定している。
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Research Products
(2 results)