2007 Fiscal Year Annual Research Report
新規軸不斉二級アミン触媒の開発および高選択的不斉反応への応用
Project/Area Number |
07J02887
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植田 光洋 Kyoto University, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 二級アミン触媒 / 不斉ヨウ素化反応 / ビナフチル骨格 |
Research Abstract |
カルボニル化合物と二級アミンから形成されるエナミンは、1954年にG.Stork等によって有用なエノラート等価体として利用できることが見出された。それ以来、今日までさまざまな求電子剤との反応が開発され、不斉反応も数多く報告されている。しかしながら、アルデヒドから形成されるエナミンは、その不安定な性質から近年までほとんど研究がなされてこなかった。そのような状況の中、最近、触媒量の二級アミンを用いて系中発生させたアルデヒドエナミンが求電子剤と効果的に反応できるということが見出され、さまざまな光学活性二級アミンの開発とともに、触媒的不斉合成反応への応用研究がなされている。現在、最も汎用されている二級アミンはピロリジン環構造を有したものであるが、用いる求電子剤によっては、十分な反応性および立体選択性が得られていない状況にある。その原因として、ピロリジン環の構造的制限により、それら求電子剤に適した不斉環境が十分に構築できないことが挙げられる。そこで、私は今年度の研究として多様な構造変換が可能なビナフチル構造を基本骨格とした、より高度に設計された光学活性二級アミンの開発に着手した。その結果、ビナフチル骨格を有した新規軸不斉二級アミンの開発に成功し、これまで困難であったアルデヒドの直截的な不斉ヨウ素化反応を高い立体選択性で進行させることに成功した。これまでにも、ピロリジン骨格を有する二級アミン型の有機分子触媒によるアルデヒドのα位の塩素化及び臭素化反応においては、高立体選択的にα-ハロアルデヒドが得られることが知られている。これらのα-ハロアルデヒドに較べ、α-ヨードアルデヒドはヨウ素の脱離能の高さやその大きさを特徴とする興味深い化合物であるが、立体選択的な合成例は数少ない。このような状況から、今年度の研究によって得られた結果は、有機合成化学において非常に価値ある成果であるといえる。
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Research Products
(5 results)
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[Book] 触媒2008
Author(s)
丸岡 啓二・加納 太一・植田 光洋
Total Pages
2
Publisher
触媒学会