2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
07J02889
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
土居 史尚 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 神経細胞保護 / グルタミンレセプター / 神経細胞毒性 / カイトセファリン / アンタゴニスト / 立体選択的合成 |
Research Abstract |
Kaitocephalinは糸状菌Eupenicillium shearii PF1191から単離された化合物であり、その構造は3つのアミノ酸が炭素間で結合した特徴的な構造を有したアミノ酸である。本化合物はグルタミン酸が引き起こす、神経細胞への興奮毒性に対して強力に拮抗阻害作用を示すことから、神経保護薬のリード化合物として期待される。ところがkaitocephalinは現在天然からは得られなくなっており、そのため本化合物の物量を確保できる効率の良い合成法の確立が望まれている。現在までに4例ほどの合成法が報告されているが、いずれも改善の余地を残している。これらを背景に、本研究はグラムスケールでの供給をも可能となる、効率的な合成法の確立を目的として行った。 本合成では、アリルグリシン保護体を出発原料とし、オレフィンメタセシスによりホモカップリングを行い、Wacker酸化することで、擬似対象ケトンを調製した。続いて、還元的アミノ化によりピロリジン環を構築した後、一級アミン選択的にベンゾイル化することでピロリジンへ導いた。わずか4工程で効率的にカイトセファリンの中央-左側部分を構築することに成功した。 さらにピロリジン環の2位に立体選択的にアリル基を導入した後、エポキシアルコールを経由してアジド化を行い、続いて一級水酸基の選択的に酸化・脱保護を行い、Kaitocephalinの合成を達成した。全18工程、総収率11%であり、本合成法は従来のものと比較して2倍〜約10倍程効率的な合成法とすることができた。上記の手法により、940mgのKaitocephalinの合成に成功した。
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