2007 Fiscal Year Annual Research Report
華南沿海地域をめぐる国際関係と社会変動1780-1840
Project/Area Number |
07J02924
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊岡 康史 The University of Tokyo, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 歴史学 / 中国:ベトナム:イギリス / 清代史 / 社会史 / 国際関係史 |
Research Abstract |
従来、18世紀後半から19世紀前半にかけての中国沿海を中心とする国際関係をめぐる問題は単純に西洋と中国という二分法で語られてきた。しかし「西洋」というカテゴリのみでは、18世紀後半以降急激に拡大するマカオを媒介とする中国と英国の交易と軋轢の中で、実際に活動していた清朝中枢、広東当局、公行、マカオ当局、英国東インド会社、英国本国、ポルトガル本国などの多様な活動を捉えきれない。本研究においては、北京・台北・広州・香港・澳門・リスボンなどの文書館に所蔵される一次資料を利用して清朝の対外政策の確立からアヘン戦争に至るまでの中国沿海域における社会状況と国際状況の変動を明らかにする。本年度は台北・北京・リスボン・マカオ・広州に於ける史料調査を行った。その研究成果として、中国第一歴史梢案館(北京)に所蔵されている未公刊資料、「吏科題本:糾参処分類」から広東沿海部の住民の経済活動についての史料を抽出し、これまでにない、18世紀から19世紀初頭にかけての中国沿海における社会状況を重層的に再現し、零細な経営主体が全体の9割を占める漁業、輸送業、商業などのさまざま職種における経済活動の規模を数値的に提示した。また、林満紅の著作(CHINAUP-SIDEDOWN)に対する書評においては、中国第一歴史梢案館所蔵資料を利用し、銀流出と社会不安を容易に結びつける傾向のある清朝の対外貿易管理政策及び経済思想についての枠踏みを提示した。これらの研究成果により、研究対象である18世紀後半以降の中国沿海の社会状況という背景と、その主要なプレイヤーのひとつである清朝の対外貿易思想が明らかとなり、清代史及び東アジア海域史、中国経済史、国際関係史に一定の貢献があった。
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Research Products
(2 results)