2007 Fiscal Year Annual Research Report
高活性・高化学選択的脱アリル化触媒の開発とRNA合成への展開
Project/Area Number |
07J02925
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 慎二 Nagoya University, 情報科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | リボヌクレオチド / 触媒 / ルテニウム / アリル保護基 |
Research Abstract |
近年、多様な機能をもつsiRNAやmiRNAに関連して、短鎖RNAの化学合成の重要性が著しく高まっている。これらの供給にはDNA化学で培われた手法が用いられるが、2'位にひとつ多いヒドロキシ基がその合成を困難とする、2'-ヒドロキシ基の保護は合成の成否を握るとしてよく、これまでにTOM、ACE、.CEM、CEE、DTMをはじめとする様々な保護基が開発されている。多段階合成が必要、高立体要請度によるインターヌクレオチド結合形成速度の低下、2',3'転位等の問題があり、真に有効な保護基は未確立の状況にある。問題解決に向けて新保護基が設計される傾向にあるが、本研究ではすでに一般的に用いられているアリル基に着目した。構造が単純であり酸・塩基に強い特性は魅力的であり、温和に脱アリル化することさえできれば理想的保護基となろう。我々が開発したカチオン性CpRu錯体と2-キノリンカルボン酸との混合触媒は、メタノール溶媒中、アリルエーテルを定量的に脱保護できる。その他の添加剤は不要であり、アルコールとの共生成物も揮発性アリルメチルエーテルなので、目的物の単離効率は高い。本手法を基盤に問題解決を図った。ウリジン三量体(3-5U)を標的化合物に定め、2'O-およびリン酸部にアリル保護基を導入した。二つの常在保護基をアリル基とすることで、一段階で全て脱保護できるからである。ホスホロアミダイト法により液相にて3-5Uの、アリル保護体を合成した。これを、メタノール中、CpRu触媒で処理することにより、定量的にアリル基を除去することができた。この結果はRNA合成におけるアリル基の潜在的有用性を示すものである。
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Research Products
(3 results)