2010 Fiscal Year Annual Research Report
「患者中心医療」の再検討-産婦人科医療におけるセルフケアと患者教育の相互行為分析
Project/Area Number |
07J02942
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高田 理恵 (川島 理恵) 埼玉大学, 教養学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 医療社会学 / 会話分析 / 相互行為研究 / 終末期医療 / 救急医療 / 医療現場研究 / ヘルスコミュニケーション |
Research Abstract |
本研究は、相互行為分析の観点から「患者中心医療」のあり方を再考することを目的とする。今年度は主に以下の3つの局面を中心に研究を進めた。(1)救急医療における死別体験、その中でも特に「看取り」の手続きに焦点を当て、家族の自己変容と医療者との相互行為の関係性について論じた。救急現場において看取りの場がどのように構成されているのかを、実際の会話データの相互行為分析により明らかにした。(2)終末期医療では,患者・家族と医療者が様々な意思決定過程を共有している.その一つの場がfamily conferenceと呼ばれるものであるが,その話し合い自体をどのように進めて行くべきかについての議論は十分とは言いがたい.米国でのfamily conferenceのあり方について実際の録画データの相互行為分析とコード化によって,新しいmodelの検討を行った.会話的な全体構造とそれに対するインタビュー・結果を結びつけ,終末期医療においていかに患者の意思を尊重した形でかつ家族の心的負担を軽滅する志向で,意思決定過程を作り上げるのかを中心に分析を行った.(3)病院前救急体制では、病院と消防が事前連絡で十分に情報を共有し、傷病者の搬送先が速やかに決定されることが必要であるとされている。会話分析を用いて救急ホットライン会話における情報共有と依頼行為の会話構造を明らかにした。ホットライン会話の基部となる依頼行為が複雑化する起点がいくつか明らかになった。まず受け入れ可能かどうかの応答において暖昧な表現が使われた場合。そして決定権に関するやり取りが生じたりした場合に、全体的な会話構造が複雑になっていた。
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Research Products
(5 results)