2008 Fiscal Year Annual Research Report
「患者中心医療」の再検討-産婦人科医療におけるセルフケアと患者教育の相互行為分析
Project/Area Number |
07J02942
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
高田 理恵 (川島 理恵) Saitama University, 教養学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 医療社会学 / 会話分析 / 相互行為研究 / 女性医療 / セルアケア / 医療現場研究 |
Research Abstract |
本研究は、相互行為分析の観点から「患者中心医療」のあり方を再考することを目的とする。今年度は主に以下の3つの局面を中心に研究を進めた。 1)医療場面データの収集・分析 患者中心医療をキーワードとして様々な医療場面の映像データの収集及びフィールドワークを行った。本年度全体を通じて、継続的に救急診療場面の撮影及び病院での救急車受け入れ時のホットラインの会話の録音を行った。そこでの患者の治療に関する医療者間の会話を中心に分析を行った。多数の医療従事者がチームとしていかに診療を迅速にかつ適切に行いながら患者やその家族へのケアを同時に進めているのかに焦点を当てた。またこれらの会話データと既存の産婦人科や助産師外来の会話データでの患者へのケアの会話構造を比較分析した。 2)日常場面データの収集・分析 妊婦を中心とした日常場面の撮影を継続的に行った。胎児や妊娠を取り巻く家族や友人間の関わりに焦点を当てることで、そこで展開される社会的な関わりの変化を記述することを試みた。目に見えない存在である胎児が相互行為の中でいかに存在を確立させて行くのか。また妊婦のセルフケアが家庭の中でどのように行われているのか。この2点について分析を進めた。ここから導かれる分析を医療場面における相互行為の分析に重ね合わせる事で、それぞれ有益な共通点または相違点を見いだす事ができた。これについては10月の国際シンポジウムにて発表を行った。 3)著書・論文の執筆活動 今年度前半は産婦人科における相互行為に関するデータを使用し、著書「女性医療の会話分析」の執筆を行った。著書では特に不妊治療を中心とした患者-医師間のコミゴニケーションの分析を行った。それぞれの立場から意思決定過程にどういった形で参加しているのかを不妊治療の相互行為を中心に分析した。また助産師外来における患者教育について英語での論文執筆を行っている。
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Research Products
(3 results)