2007 Fiscal Year Annual Research Report
超高分解能スピン分解光電子分光装置の建設と低次元ナノ電子系の微細電子構造の研究
Project/Area Number |
07J02951
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅原 克明 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 角度分解光電子分光 / グラファイト |
Research Abstract |
これまで低次元ナノ電子系は、金属絶縁体転移、スピンパイエルス転移、超伝導転移など興味ある研究がなされてきた。現在ではこれらの特異物性のみならず、ナノスケールにおけるデバイスの応用、さらには新たなスピンの自由度を応用したスピントロニクスの分野として精力的な研究がなされている。そのため、ナノスケールの試料を独自に作成し、それを電子状態の立場から試料評価し、さらには電子状態から判明される新たな特異物性を明らかにする上で、低次元ナノ電子系のためのスピン分解光電子分光装置の開発は必要不可欠である。 本年度は、低次元ナノ電子系の電子状態の解明を行うための準備段階として、清浄試料表面の劣化の防止と、十分な統計精度を得るための長時間測定を行うためのAl薄膜フィルターの設置を行った。その結果、測定時の真空度の向上と測定試料の長期測定が行える環境を実現した。また、清浄試料表面の作成に必要不可欠な超高真空化の実現に向けた排気系、表面作成のためのスパッターアニール装置、単結晶薄膜の作成を行うための蒸着源、膜厚計、および超高分解能角度分解光電子分光装置との試料搬入システムの設計・建設を行うことによって、低次元ナノ電子系物質の作成が行える環境を整えた。さらに、本年度はスピントロニクスへの応用が最近期待され始めたグラファイトの研究に着手した。その結果、フェルミ準位近傍において、有効質量の増大に伴う"キンク構造"と準粒子ピークの観測に成功した。数値的解析を行うことによって、それらの起源はフォノンと強く結合することによって生じたものであることを明らかにした。
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Research Products
(9 results)